合同会社を自分で設立したいけれど、手続きが複雑で不安…そんなあなたのために、この記事では合同会社設立の全手順をわかりやすく解説します。
自分で設立すれば行政書士などに依頼するよりも最大15万円程度の費用削減が可能です。
定款作成から登記申請まで、必要書類や記入例を交えながら具体的に説明。
特に電子定款の活用で4万円の節約方法や、登記申請時のよくある失敗例とその対処法も紹介しています。
この記事を参考にすれば、合同会社設立の全体像を把握でき、自信を持って手続きを進められるようになります。
合同会社を自分で設立するメリット
合同会社(LLC:Limited Liability Company)は2006年の会社法改正で導入された比較的新しい会社形態です。
自分で設立する方が増えている理由には、手続きの簡便さやコスト面での優位性があります。
ここでは、合同会社を自分で設立する具体的なメリットについて詳しく解説します。
株式会社との違いと設立のしやすさ
合同会社と株式会社はどちらも法人格を持ちますが、設立手続きやガバナンス構造に大きな違いがあります。
合同会社は株式会社と比較して、自分で設立する際のハードルが格段に低いのが特徴です。
比較項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
定款認証 | 不要 | 公証人による認証が必要(約5万円) |
機関設計 | 社員総会のみでOK | 取締役会・監査役等の設置が必要な場合あり |
議決権 | 原則、出資比率に関わらず1人1議決権 | 株式数に応じた議決権 |
登記費用 | 資本金の0.7% | 資本金の0.7% |
合同会社では定款認証が不要なため、公証人役場に出向く必要がなく、公証人手数料(約5万円)が節約できます。
また、機関設計が簡素で、社員(出資者)が業務執行社員として会社を運営できるため、小規模ビジネスやスタートアップに最適な会社形態といえます。
法的な有限責任の保護
個人事業主と異なり、合同会社の出資者(社員)は有限責任が保証されています。
つまり、会社が負債を抱えても、出資額以上の責任を負う必要がありません。
この点は株式会社と同様で、個人の資産を守りながらビジネスに挑戦できる大きなメリットです。
設立手続きの簡便さ
合同会社の設立は、基本的に以下のステップで完了します:
- 定款の作成(電子定款なら印紙税不要)
- 出資金の払い込み
- 法務局への登記申請
株式会社のような株主総会議事録や取締役会議事録の作成が不要で、書類作成の負担が少なく、法律の専門知識がなくても自力で設立できる点が大きな魅力です。
自分で設立することで削減できる費用
合同会社を自分で設立することで、専門家に依頼する場合と比較して大幅なコスト削減が可能です。
一般的に行政書士や司法書士に依頼すると10〜20万円程度の費用がかかりますが、自分で行えば必要最低限の法定費用のみで済みます。
費用項目 | 自分で設立 | 専門家に依頼 |
---|---|---|
定款作成費用 | 0円(電子定款の場合) | 0円(電子定款の場合) |
印紙税 | 0円(電子定款の場合) | 0円(電子定款の場合) |
定款認証費用 | 不要 | 不要 |
登録免許税 | 6万円(資本金300万円以下の場合) | 6万円(資本金300万円以下の場合) |
専門家報酬 | 0円 | 10〜20万円 |
合計 | 約6万円〜 | 約16〜26万円 |
自分で設立すれば最低約6万円程度から会社設立が可能で、これは主に登録免許税(最低額6万円)と収入印紙代などです。
電子定款を利用すれば印紙税4万円も節約できます。
創業初期の資金が限られているスタートアップにとって、この費用削減効果は非常に大きいといえるでしょう。
時間的コストの削減
自分で設立手続きを進めることで、専門家とのやり取りに費やす時間も削減できます。
必要事項を自分で決定し、書類を作成することで、自分のペースで設立を進められる柔軟性も大きなメリットです。
オンラインで情報収集しながら、夜間や週末を使って少しずつ準備を進めることも可能です。
合同会社のビジネス上の優位性
費用面や手続きの簡便さだけでなく、合同会社にはビジネスを展開する上での優位性もあります。
柔軟な利益配分が可能
合同会社では、定款で自由に定めることにより、出資比率と異なる利益配分(分配比率)を設定できます。
例えば、出資は少なくても会社に大きく貢献している社員に多くの利益を配分するといった、柔軟で実情に合った報酬設計が可能です。
これは株式会社では原則としてできない仕組みで、パートナーシップ型のビジネスや、貢献度に応じた公平な分配を重視する創業チームに適しています。
内部自治の自由度
合同会社は「内部自治の原則」が強く、会社の運営方法や意思決定プロセスを社員間の合意で柔軟に決められます。
定款で詳細に規定することで、自分たちのビジネススタイルに最適な統治構造を構築できる点が大きな魅力です。
自治の項目 | 合同会社での対応 |
---|---|
業務執行の決定方法 | 多数決/全会一致など自由に設定可能 |
新社員の加入条件 | 厳格な条件を設定可能 |
退社制限 | 任意退社の制限なども規定可能 |
業務分担 | 社員ごとの業務範囲を詳細に規定可能 |
情報開示の少なさ
株式会社と比較して、合同会社は公開すべき情報が少ないという特徴があります。
決算公告義務がないため、財務情報を公開する必要がなく、ビジネスの機密性を保ちやすい点もメリットです。
競合他社に情報を知られたくないスタートアップや、技術開発型企業にとって有利な点といえます。
社会的信用の向上
個人事業主と比較すると、法人化することで社会的信用が向上します。
特に取引先企業や金融機関との関係において、「合同会社」という法人格を持つことで、ビジネスの安定性や継続性をアピールできる点は重要です。
法人口座の開設や各種契約においても、個人事業主よりも有利に進められることが多いでしょう。
合同会社は設立の容易さとビジネス上の柔軟性を兼ね備えた会社形態です。
小規模でスタートしながらも、将来的な成長を見据えている起業家にとって、自分で設立する合同会社は非常に魅力的な選択肢といえるでしょう。
合同会社設立の全体的な流れ

合同会社を自分で設立する際の全体的な流れを理解しておくことは、スムーズな設立手続きのために非常に重要です。
ここでは設立準備から登記完了までの一連のステップを詳しく解説し、必要な書類や手続きの期間についても説明します。
設立準備から登記完了までのステップ
合同会社の設立は、以下の手順で進めていくのが一般的です。
各ステップを順番に進めることで、効率的に設立手続きを完了させることができます。
ステップ | 内容 | ポイント |
---|---|---|
1. 基本事項の決定 | 商号、事業目的、本店所在地、出資金額など | 他社と重複しない商号を選び、将来の事業展開も考慮した事業目的を設定 |
2. 定款の作成 | 合同会社の基本ルールを文書化 | 電子定款なら収入印紙代4万円が不要 |
3. 出資金の払込 | 代表社員の個人口座に一時的に入金 | 払込証明書を作成して保存 |
4. 登記申請書類の作成 | 設立登記申請書、添付書類の準備 | 書式や記載内容に不備がないよう注意 |
5. 法務局への登記申請 | 必要書類を管轄法務局に提出 | 登録免許税の納付も忘れずに |
6. 登記完了・会社設立 | 登記簿に記載され法人が誕生 | 登記事項証明書を取得 |
上記の各ステップを着実に進めることで、合同会社の設立を自分で行うことができます。
特に重要なのは、事前準備をしっかり行い、必要書類を漏れなく準備することです。
必要書類の一覧と入手方法
合同会社を自分で設立する際には、以下の書類が必要となります。
これらの書類を適切に準備することで、登記申請がスムーズに進みます。
設立時に必要な書類
- 定款:合同会社の基本ルールを定めた文書
- 設立登記申請書:法務局に提出する申請書
- 出資金の払込証明書:出資金が確かに払い込まれたことを証明する書類
- 印鑑届出書:会社の実印を届け出るための書類
- 代表社員の印鑑証明書:代表社員の実印を証明する書類(発行から3ヶ月以内のもの)
- 本店所在地の確認書類:賃貸借契約書のコピーなど
これらの書類の入手方法は以下の通りです:
- 定款:自分で作成するか、テンプレートを利用
- 設立登記申請書:法務局のウェブサイトからダウンロードまたは法務局で入手
- 出資金の払込証明書:自分で作成(払込を証明できる通帳のコピーなどを添付)
- 印鑑届出書:法務局のウェブサイトからダウンロードまたは法務局で入手
- 印鑑証明書:代表社員の住民登録がある市区町村の役所で取得
登記申請時には上記書類に加えて、登録免許税の納付証明(収入印紙または領収証書)も必要です。
合同会社の場合、登録免許税は資本金の0.7%(最低6万円)となります。
電子申請の場合の必要書類
電子申請を利用する場合は、以下の準備が必要です:
- 電子証明書付きのマイナンバーカードまたは商業登記電子証明書
- ICカードリーダー
- 申請用総合ソフト(法務省のウェブサイトから無料ダウンロード)
- 上記と同様の必要書類(電子データ化したもの)
電子申請は書類を郵送したり窓口に出向いたりする必要がなく、24時間いつでも申請できる利便性があります。
特に遠方に住んでいる場合は検討する価値があるでしょう。
設立までの標準的な期間
合同会社を自分で設立する場合、準備から登記完了までの標準的な期間は以下のようになります。
プロセス | 所要期間 | 備考 |
---|---|---|
基本事項の検討 | 3〜7日 | 商号の類似調査なども含む |
定款作成 | 1〜3日 | 電子定款の場合は電子署名の取得も考慮 |
出資金の払込 | 1日 | 銀行振込などの時間 |
書類準備 | 2〜3日 | 印鑑証明書の取得なども含む |
登記申請から完了まで | 約2週間 | 法務局の混雑状況により変動 |
上記を合計すると、準備開始から登記完了まで約3〜4週間程度が一般的な期間となります。
ただし、書類に不備があった場合や法務局が混雑している時期は、さらに時間がかかることがあります。
特に注意すべき点として、以下の要素が所要期間に影響します:
- 商号の調査に時間がかかる場合
- 事業目的の検討に時間を要する場合
- 出資者が複数いて調整が必要な場合
- 年度末など法務局が混雑する時期
- 書類の不備による差戻し
登記申請から登記完了までは通常2週間程度ですが、早期の登記を希望する場合は「早期処理」を申請できる法務局もあります。
この場合、追加費用はかかりませんが、法務局によっては対応していない場合もあるため、事前に確認が必要です。
計画的に設立を進めるためには、これらの期間を考慮して余裕をもったスケジュールを立てることをおすすめします。
特に、会社設立後に契約や取引を予定している場合は、その日程から逆算して手続きを開始することが重要です。
時期別の注意点
法務局の混雑状況は時期によって異なります。
特に以下の時期は混雑が予想されるため、通常よりも時間がかかる可能性があります:
- 3月〜4月(年度末・年度始め)
- 12月(年末)
- 祝日の前後
これらの時期を避けて申請するか、混雑を見込んだスケジュールを立てることで、予定通りに会社設立を完了させることができます。
合同会社設立前の重要な準備

合同会社を自分で設立する際には、事前の準備が成功の鍵を握ります。
登記申請の前に決めておくべき重要事項があり、これらを慎重に検討することで、後々の変更手続きや余計な費用を避けることができます。
以下では、設立前に必ず準備しておくべき事項について詳しく解説します。
事業目的の決め方と記載例
事業目的は、会社が行う事業内容を表すもので、登記事項として定款に記載する必要があります。
将来的な事業拡大も見据えて、幅広く設定することが一般的です。
事業目的設定の基本ルール
事業目的を設定する際には、以下のポイントに注意しましょう:
- 具体的かつ明確に記載する
- 法令で禁止されている事業は記載できない
- 許認可が必要な事業は正確な表現を使用する
- 将来的に行う可能性のある事業も含めておく
- 「及び上記に付帯する一切の事業」などの包括的な文言を最後に入れる
事業目的は後から追加することも可能ですが、その際には定款変更と変更登記が必要となり、約5万円の費用が発生します。
初期段階で幅広く設定しておくことで、この追加コストを避けることができます。
業種別の事業目的記載例
業種 | 事業目的の記載例 |
---|---|
IT関連 | 1. ウェブサイトの企画、制作、運営及び管理 2. コンピュータソフトウェアの開発、販売及び保守 3. 情報処理サービス業及び情報提供サービス業 |
小売業 | 1. 衣料品、装飾品、日用雑貨品の販売 2. インターネットを利用した通信販売業 3. 輸出入業 |
飲食業 | 1. 飲食店の経営 2. 食料品の製造及び販売 3. 酒類の販売(酒類販売業免許取得が必要) |
コンサルティング | 1. 経営コンサルティング業 2. 人材育成に関するコンサルティング 3. セミナー、講演会の企画、運営 |
特に許認可が必要な業種(建設業、不動産業、飲食業など)は、申請時に事業目的と許認可申請内容の整合性が問われるため、正確な表現を使用することが重要です。
商号(会社名)の決定と調査方法
商号(会社名)は会社の顔となるもので、慎重に検討する必要があります。
合同会社の場合は、名称の末尾に「合同会社」または「LLC」(英文商号の場合)を付ける必要があります。
商号決定のポイント
- 覚えやすく、発音しやすい名称を選ぶ
- 事業内容や企業理念を反映させる
- ドメイン名の取得可能性も考慮する
- 商標登録されていないか確認する
- 同一市区町村内の同一・類似商号は避ける
商号は原則として同一市区町村内で同一の商号を使用することはできません。
特に大都市では同じ名前の会社が既に存在している可能性が高いため、事前に調査することが重要です。
商号の調査方法
商号が使用可能かどうかを確認するには、以下の方法があります:
- 国税庁法人番号公表サイトでの検索:全国の法人名称を検索できます
- 法務局の登記情報提供サービス:有料ですが詳細な情報が得られます
- 管轄法務局での窓口調査:直接訪問して調査する方法です
- インターネット検索:一般的な検索エンジンで調査する初歩的な方法です
商号が決まったら、できるだけ早くドメイン名も取得しておくことをお勧めします。
会社名と一致するドメインは企業の信頼性向上にも寄与します。
本店所在地の選び方とポイント
本店所在地は、会社の公式住所として登記され、各種書類の送付先となります。
また、管轄の法務局や税務署が決まる重要な要素です。
本店所在地として選べる場所
- 自宅
- 賃貸オフィス
- シェアオフィス・コワーキングスペース
- バーチャルオフィス
- 知人・親族の所有物件
バーチャルオフィスを利用する場合は、登記が可能なサービスを選ぶ必要があります。
また、金融機関によっては、バーチャルオフィスだと法人口座開設が難しい場合があるため注意が必要です。
本店所在地選びの注意点
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
自宅 | ・コスト削減 ・通勤不要 | ・プライバシーの問題 ・住居専用区域の場合は不可 ・賃貸の場合は大家の許可が必要 |
賃貸オフィス | ・専用スペースの確保 ・来客対応が可能 | ・初期費用・家賃の負担 ・契約時の保証人や敷金が必要 |
バーチャルオフィス | ・低コスト ・一等地の住所が使える | ・実際の作業場所は別途必要 ・銀行口座開設に制約の可能性 |
住居専用地域に自宅がある場合、原則として事業用登記はできません。
ただし、事務作業のみで外部との接触がない場合は認められることもあります。
地域の用途区分は各自治体の都市計画課で確認できます。
また、引っ越しを予定している場合は、移転後の住所で登記することをお勧めします。
本店所在地を変更する場合も変更登記が必要となり、追加費用が発生します。
出資金額の決め方と資本金の考え方
合同会社の設立に必要な最低資本金は法律上定められていないため、1円からでも設立可能です。
しかし、実務上は事業運営や対外的な信用を考慮して適切な金額を設定する必要があります。
出資金額を決める際の考慮点
- 事業開始に必要な運転資金
- 設備投資や初期費用
- 取引先や金融機関からの信用
- 税務上の影響
- 出資者間の出資比率
合同会社では出資額に応じた議決権や利益分配が基本ですが、定款で別途定めることで、出資額と異なる比率での権利配分も可能です。
この柔軟性が株式会社と比較した際の大きな特徴の一つです。
一般的な出資金額の目安
事業規模 | 推奨出資金額 | 考慮点 |
---|---|---|
個人事業の法人成り | 10万円〜50万円 | 小規模でも最低10万円程度が一般的 |
小規模事業 | 50万円〜100万円 | 銀行口座開設を考慮した金額 |
中規模事業 | 100万円〜300万円 | 取引先や融資を考慮した金額 |
大規模事業 | 300万円以上 | 信用力や業界慣行に応じた金額 |
出資金の払込証明方法
出資金の払込みを証明するために、以下のいずれかの方法を選択します:
- 発起人口座を使用する方法:出資者(発起人)の個人口座に出資金を集め、残高証明書を取得
- 代表社員の口座を使用する方法:代表社員の口座に出資金を集め、通帳のコピーを作成
- 金銭出資以外の方法:現物出資(不動産、車両、知的財産権など)も可能だが、評価額によっては検査役の調査が必要
出資金は設立登記完了後、会社名義の口座開設後に会社口座へ移動させます。
出資金を使用する際は、きちんと会社の経費として処理することが重要です。
以上の4つのポイント(事業目的、商号、本店所在地、出資金)をしっかりと準備することで、スムーズな合同会社設立の基盤が整います。
準備段階でこれらを慎重に検討することで、設立後の変更手続きや追加費用を避けることができます。
合同会社の定款作成のポイント

合同会社を自分で設立する際、最も重要な書類の一つが「定款」です。
定款は会社の憲法とも言える文書で、会社の基本的な事項を定めるものです。
株式会社と異なり、合同会社の場合は定款認証が不要なため、自分で作成することで費用を大幅に削減できます。
ここでは、合同会社の定款作成における重要なポイントを解説します。
定款に必要な記載事項
合同会社の定款には、法律で定められた「絶対的記載事項」と、必要に応じて記載する「任意的記載事項」があります。
まずは絶対に記載しなければならない項目を押さえておきましょう。
絶対的記載事項
会社法上、合同会社の定款に必ず記載しなければならない事項は以下の通りです:
項目 | 内容 | 記載例 |
---|---|---|
商号 | 会社の名称(末尾に「合同会社」を付ける) | 〇〇〇合同会社 |
目的 | 会社が行う事業内容 | 1. ウェブサイトの企画、制作及び運営 2. インターネットを利用した各種情報提供サービス |
本店の所在地 | 最小行政区画まで(市区町村まで) | 東京都渋谷区 |
社員の氏名・住所 | 出資者(社員)の情報 | 東京都〇〇区〇〇 山田太郎 |
社員の出資の目録 | 各社員の出資額や出資の種類 | 山田太郎 金銭 100万円 |
任意的記載事項
会社の運営をスムーズにするために、以下のような任意的記載事項も検討すると良いでしょう:
- 事業年度(決算期)の設定
- 業務執行社員に関する規定
- 利益配分・損失分配に関する規定
- 社員の加入・退社に関する規定
- 会社の存続期間(特に定めない場合は永続的)
- 公告方法(官報や日刊新聞紙、電子公告など)
これらの任意的記載事項は、後々のトラブルを防ぐために、会社の実情に合わせて慎重に検討することをおすすめします。
特に複数の出資者がいる場合は、権限や利益配分について明確に定めておくことが重要です。
定款認証が不要で節約できるポイント
合同会社の大きなメリットの一つが、株式会社と異なり定款認証が不要である点です。
これにより以下のような費用を節約できます。
公証人による認証費用の節約
株式会社の場合、公証人による定款認証が必要で、5万円の手数料がかかります。
合同会社では、この手続きが不要なため、この費用を完全に節約できます。
収入印紙代の節約方法
定款には通常4万円の収入印紙を貼付する必要がありますが、電子定款を作成して電子署名を行えば、この収入印紙代も不要になります。
項目 | 株式会社 | 合同会社(紙定款) | 合同会社(電子定款) |
---|---|---|---|
公証人認証費用 | 50,000円 | 0円 | 0円 |
収入印紙代 | 40,000円 | 40,000円 | 0円 |
合計 | 90,000円 | 40,000円 | 0円 |
電子定款を利用することで、合同会社の設立時に最大9万円の費用節約が可能になります。
特に起業初期の資金が限られている場合、この節約は非常に大きなメリットとなるでしょう。
定款作成時のよくあるミス
自分で定款を作成する際によく見られるミスを把握し、注意することが重要です。
以下のような点に気をつけましょう。
商号に関するミス
合同会社の商号には、必ず「合同会社」の文字を入れる必要があります。
「LLC」や「Limited Liability Company」などの外国語表記は認められません。
また、他の会社と同一の商号を同一市区町村内で登記することはできないため、事前に類似商号の調査が必要です。
事業目的の書き方のミス
事業目的は、具体的かつ明確に記載する必要があります。
「その他関連する一切の事業」といった抽象的な表現だけでは不十分です。
また、あまりにも多くの事業目的を羅列すると、登記官から指摘を受ける可能性があります。
以下のような表現は避けるべきです:
- 「等」や「など」といった曖昧な表現
- 「一切の」という包括的な表現のみ
- 法令で禁止されている事業
- 特別な許認可が必要な事業(記載は可能だが許認可取得が必要)
本店所在地の記載ミス
定款では、本店所在地は「最小行政区画」まで(通常は市区町村まで)の記載で良いとされています。
例えば「東京都渋谷区」までで構いません。番地まで記載してしまうと、住所変更の際に定款変更が必要になるため注意が必要です。
社員の出資に関するミス
出資の目録では、各社員の出資の種類(金銭や現物出資など)と金額を明記する必要があります。
現物出資の場合は、その評価額の根拠も必要となります。また、出資金額の合計が資本金と一致しているかを確認しましょう。
定款作成時のミスは登記申請の却下につながり、手続きの遅延や追加費用が発生する原因となります。
不安な場合は、定款のサンプルや雛形を参考にしたり、一度専門家に確認してもらうことも検討しましょう。
電子定款の作成方法
収入印紙代を節約するために、電子定款の作成がおすすめです。
以下に電子定款作成の流れを説明します。
必要なもの
- パソコン
- マイナンバーカード(または電子証明書)
- ICカードリーダー
- 電子署名用ソフトウェア(Adobe Acrobat Reader DCなど)
電子定款作成の手順
電子定款を作成するための基本的な手順は以下の通りです:
- WordやExcelなどで定款の内容を作成する
- 作成した定款をPDF形式で保存する
- 電子署名ソフトを使って、PDFファイルに電子署名を行う
- 署名済みの電子定款を保存する
- 登記申請時に電子定款ファイルを提出する(CD-RやUSBメモリなどの電子媒体に保存して提出)
マイナンバーカードを使った電子署名の方法
マイナンバーカードを活用した電子署名の具体的な手順は以下の通りです:
- マイナンバーカード対応のICカードリーダーを用意し、パソコンに接続する
- 公的個人認証サービス(JPKI)のクライアントソフトをインストールする
- Adobe Acrobat Reader DCなどのPDF閲覧ソフトで定款のPDFファイルを開く
- 電子署名機能を使い、マイナンバーカードで認証して署名する
- 署名済みのPDFファイルを保存する
電子定款は収入印紙代の4万円を節約できるだけでなく、紙の節約にもなり、データとして保管しやすいというメリットもあります。
最近ではマイナンバーカードの普及に伴い、電子定款の作成もより身近になってきています。
電子定款作成時の注意点
電子定款を作成する際には、以下の点に注意しましょう:
- 電子署名は必ず社員全員が行う必要がある(複数社員がいる場合)
- マイナンバーカードの電子証明書の有効期限を確認する
- ICカードリーダーが正しく認識されているか事前に確認する
- 電子定款は法務局に提出する前にバックアップを取っておく
- 電子署名の日付が会社設立日より前であることを確認する
電子定款の作成は初めての方には少し手間に感じるかもしれませんが、一度手順を理解すれば、それほど難しくはありません。
4万円の収入印紙代を節約できることを考えると、挑戦する価値は十分にあります。
合同会社の定款は会社の基本的なルールを定める重要な書類です。
しっかりと内容を理解し、ミスのない定款を作成することで、スムーズな会社設立と今後の円滑な会社運営につながります。
分からない点がある場合は、法務局の窓口で相談するか、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
自分で行う合同会社設立の具体的手順

合同会社を自分で設立する場合、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。
ここでは、設立手続きを自分で行うための具体的な手順を詳しく解説します。
株式会社と異なり、合同会社は定款認証が不要なため、手続きがシンプルで費用も抑えられるメリットがあります。
定款の作成と電子署名
合同会社設立の最初のステップは定款の作成です。
定款は会社の基本的なルールブックとなる重要書類です。
定款作成の基本
定款には以下の絶対的記載事項を必ず含める必要があります:
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 出資金の額
- 社員(出資者)の氏名・住所
- 社員の出資に関する事項
- 会社の機関設計に関する事項
電子定款を作成する場合は、Word等で作成した定款をPDF形式に変換し、電子署名を行います。
電子署名には公的個人認証サービスを利用したマイナンバーカードによる署名が一般的です。
電子定款作成の具体的手順
- 定款をWord等で作成
- PDFに変換
- ICカードリーダーとマイナンバーカードを準備
- 「Adobe Acrobat Reader DC」などの電子署名ができるソフトを使用
- 電子署名を行う
- 署名済み定款をCD-RやUSBメモリに保存
電子定款のメリットは収入印紙代4万円が不要になる点です。
自分で手続きを行う場合、この節約は大きなメリットとなります。
出資金の払い込み手続き
定款作成後は、定款で定めた出資金を払い込む手続きを行います。
出資金払込の基本
合同会社の設立には、法定の最低資本金はありませんが、事業運営に必要な資金を考慮して適切な金額を設定しましょう。
出資金の払い込みでは、代表社員(代表者)となる予定の方の個人口座に、出資者全員が出資金を振り込むケースが一般的です。
この場合、振込明細書が重要な証拠となります。
出資金払込証明書類の作成
払い込みが完了したら、以下の書類を準備します:
- 払込証明書(代表社員が作成)
- 通帳のコピー(入金記録のページ)
- 残高証明書または取引明細のコピー
出資金払込証明書の例文:
出資金払込証明書 合同会社〇〇〇の設立に際し、次のとおり、出資金全額の払込みがあったことを証明します。 1. 出資金総額:〇〇〇円 2. 払込年月日:令和〇年〇月〇日 3. 払込取扱者:〇〇〇〇(代表社員) 令和〇年〇月〇日 払込取扱者 〇〇〇〇 印 |
登記申請書類の作成方法
出資金の払い込みが完了したら、法務局への登記申請に必要な書類を作成します。
必要書類一覧
書類名 | 説明 | 入手方法/作成方法 |
---|---|---|
合同会社設立登記申請書 | 登記申請の基本書類 | 法務局ウェブサイトからダウンロード、または自分で作成 |
定款 | 会社の基本ルール | 自分で作成(電子署名済みのものをCD-R等で提出) |
出資金払込証明書 | 出資金が払い込まれた証明 | 代表社員が作成 |
代表社員の印鑑証明書 | 代表社員の印鑑の証明 | 市区町村役場で取得(発行から3ヶ月以内のもの) |
代表社員の就任承諾書 | 代表社員に就任する意思表示 | 自分で作成 |
印鑑届出書 | 会社の実印の届出 | 法務局ウェブサイトからダウンロード |
登録免許税納付用台紙 | 登録免許税の納付証明 | 収入印紙を貼付するための台紙 |
登記申請書の作成ポイント
登記申請書は、法務局のウェブサイトからひな形をダウンロードするか、オンライン申請システム「登記・供託オンライン申請システム」(通称:登記ねっと)を利用して作成することができます。
登記申請書には、会社の商号、本店所在地、会社成立の年月日、資本金の額、事業目的、代表社員の氏名・住所など重要事項を漏れなく記載することが必要です。
特に事業目的は登記後の変更には費用がかかるため、将来の事業展開も見据えた記載が推奨されます。
代表社員就任承諾書の例文:
就任承諾書 私は、合同会社〇〇〇の設立に際し、代表社員に就任することを承諾します。 令和〇年〇月〇日 住所:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 氏名:〇〇〇〇 印 |
法務局への登記申請の流れ
すべての書類が揃ったら、管轄の法務局へ登記申請を行います。
申請方法の選択
登記申請には以下の3つの方法があります:
- 窓口申請:法務局の窓口に直接出向いて申請
- 郵送申請:必要書類を郵送で提出
- オンライン申請:「登記・供託オンライン申請システム」を利用
初めて自分で手続きを行う場合は、窓口申請がおすすめです。
書類に不備があった場合にその場で指摘を受けることができます。
必要な費用
合同会社設立時に必要な登録免許税は、資本金の額に関わらず一律6万円です。
この金額分の収入印紙を購入し、登録免許税納付用台紙に貼付します。
申請から完了までの流れ
- 必要書類の最終確認
- 法務局への申請(窓口、郵送、またはオンライン)
- 申請受理(受付番号を受け取る)
- 審査期間(通常1週間程度)
- 登記完了
- 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の取得
登記が完了すると、会社の法人格が正式に成立します。
登記完了後は、まず登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を取得し、会社の設立を証明できるようにしておくことが重要です。
この証明書は銀行口座開設など、今後の手続きで必要となります。
申請後の注意点
申請後に法務局から連絡があることもあります。
書類の不備や追加の説明が必要な場合には、速やかに対応しましょう。
連絡先は必ず申請書に正確に記載しておくことが大切です。
登記申請が却下された場合でも、指摘された不備を修正して再申請することが可能です。
ただし、収入印紙代は再度必要となるケースもあるため、最初から正確な書類作成を心がけましょう。
合同会社の設立手続きは、株式会社と比較すると比較的シンプルですが、それでも法的な手続きとなるため、細心の注意を払って進めることが重要です。
不安な点がある場合は、一部だけ専門家に相談するという選択肢もあります。
合同会社設立時の費用内訳

合同会社を自分で設立する最大のメリットの一つは費用の削減です。
専門家に依頼すると10万円以上かかることもありますが、自分で手続きを行えば大幅に費用を抑えることができます。
ここでは、実際にかかる費用の内訳と節約のポイントを詳しく解説します。
必須費用と節約できる費用
合同会社設立には、どうしても必要な「必須費用」と工夫次第で節約できる「可変費用」があります。
まずは必ず発生する費用から見ていきましょう。
費用項目 | 金額 | 節約可否 | 備考 |
---|---|---|---|
登録免許税 | 60,000円 | 不可 | 法定費用のため削減不可 |
定款印紙税 | 40,000円 | 可能 | 電子定款なら0円 |
登記簿謄本取得 | 600円〜 | 不可 | 登記完了後の必要書類 |
印鑑証明書 | 450円〜 | 不可 | 代表社員の印鑑証明 |
実印作成費 | 2,000円〜 | 一部可能 | 品質による |
会社銀行口座開設 | 0円 | – | 基本的に無料 |
合同会社設立において絶対に必要な費用は登録免許税の60,000円です。
これは法定費用のため、誰が申請しても同じ金額がかかります。
一方、印紙税や専門家費用などは工夫次第で大幅に削減可能です。
節約できる主な費用項目
自分で手続きを行う場合、特に以下の費用を削減できます:
- 司法書士や行政書士への依頼費用(5〜15万円)
- 定款認証費用(株式会社では必要だが合同会社では不要)
- 定款の印紙税(電子定款を利用すれば不要)
特に司法書士への依頼費用は大きな金額になるため、自分で設立手続きを行うことで最大15万円程度の節約が可能です。
電子定款と紙定款のコスト比較
定款の作成方法によって、設立費用は大きく変わります。
従来の紙の定款と電子定款を比較してみましょう。
項目 | 紙定款 | 電子定款 |
---|---|---|
印紙税 | 40,000円 | 0円 |
必要機材 | プリンター、紙 | パソコン、電子証明書 |
電子証明書費用 | 不要 | 約5,000円(個人用) |
利便性 | 簡単だが印紙代が高い | 初期設定は複雑だが大幅に安い |
総コスト | 約41,000円 | 約5,000円 |
電子定款を利用すれば、印紙税4万円が完全に不要になります。
電子証明書の取得に約5,000円かかりますが、それでも3万5千円の節約になるため、電子定款の作成は費用削減の大きなポイントです。
電子証明書の種類と取得方法
電子定款作成に使用できる主な電子証明書は以下の通りです:
- 公的個人認証サービス(マイナンバーカード):800円程度
- 商業登記電子証明書:7,900円(3年間有効)
- 民間の電子認証サービス:3,000円〜15,000円程度
最も安価なのはマイナンバーカードを利用した公的個人認証サービスです。
既にマイナンバーカードをお持ちの方は、ICカードリーダーを用意するだけで電子定款の作成が可能になります。
自分で設立した場合の総コスト目安
合同会社を自分で設立した場合の総コストを、電子定款使用の場合と紙定款使用の場合で比較してみましょう。
費用項目 | 電子定款の場合 | 紙定款の場合 |
---|---|---|
登録免許税 | 60,000円 | 60,000円 |
印紙税 | 0円 | 40,000円 |
電子証明書 | 800円〜5,000円 | 0円 |
実印作成 | 2,000円〜10,000円 | 2,000円〜10,000円 |
印鑑証明書等 | 約1,000円 | 約1,000円 |
定款謄本等 | 1,000円程度 | 1,000円程度 |
合計 | 約65,000円〜77,000円 | 約104,000円〜112,000円 |
上記の表から分かるように、電子定款を利用すれば7万円程度で合同会社設立が可能です。
一方、紙定款を使用すると10万円を超える費用がかかります。
さらに司法書士などの専門家に依頼すると、15〜20万円程度の費用が上乗せされます。
最低限必要な資本金について
合同会社の設立に法律上の最低資本金の定めはなく、理論上は1円からでも会社設立が可能です。
しかし、実務上は以下の点を考慮して資本金を決めるとよいでしょう:
- 事業開始に必要な初期費用をカバーできる額
- 取引先や金融機関からの信用を得られる額(通常100万円以上が望ましい)
- 税制上のメリットを得られる額
なお、資本金の額によって登録免許税は変わりません。合同会社の場合は一律60,000円です。
納税管理人を置く場合の追加費用
海外在住者が合同会社を設立する場合や、代表社員が日本に居住していない場合は、納税管理人を選任する必要があります。
この場合、追加で以下のような費用が発生することがあります:
- 納税管理人への報酬:月額5,000円〜30,000円
- 納税管理人選任届出書の提出費用:無料(自分で行う場合)
- 関連書類の翻訳費用(外国語の書類がある場合):1ページあたり5,000円〜
納税管理人には、税理士や公認会計士などの専門家を選任することが一般的ですが、親族や知人を選ぶことも可能です。
ただし、税務に関する知識と責任が必要となるため、専門家への依頼をお勧めします。
後から発生する可能性のある費用
会社設立後、事業内容によっては以下のような追加費用が発生する場合があります:
- 許認可申請費用:事業内容によって異なる(数千円〜数万円)
- 会社印鑑(角印、銀行印など):5,000円〜20,000円
- 会社情報の変更登記費用:変更内容により1〜3万円
- 税務署等への各種届出書の作成・提出:自分で行えば無料
特に許認可が必要な業種(飲食業、建設業、不動産業など)では、申請費用や書類作成費用が別途必要になることを念頭に置いておきましょう。
合同会社設立の費用は、電子定款の活用や自分で手続きを行うことで大幅に削減できます。
最低限必要な費用である登録免許税の60,000円に加え、5,000円〜15,000円程度の諸費用で設立が可能です。
専門家に依頼する場合と比較して、10万円以上の節約につながるでしょう。
合同会社設立後に必要な手続き

合同会社の登記が完了しても、まだやるべき手続きがたくさんあります。
適切な期限内に各種届出を行わないと、後々トラブルになる可能性があるため、計画的に進めましょう。
ここでは、設立後に必ず行うべき手続きについて詳しく解説します。
税務署への届出
合同会社の登記が完了したら、まず税務関係の届出が必要です。
法人設立から2ヶ月以内に行う必要があります。
法人設立届出書
会社の基本情報を税務署に届け出るための書類です。
会社名、所在地、事業年度、代表社員の情報などを記載します。
この届出により税務署に法人の存在が認識され、法人番号が発行されます。
青色申告の承認申請書
青色申告を行うことで、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。
設立から3ヶ月以内、または最初の事業年度終了日のどちらか早い日までに提出する必要があります。
青色申告のメリット | 内容 |
---|---|
欠損金の繰越 | 10年間の繰越が可能 |
各種引当金の計上 | 貸倒引当金などを経費計上可能 |
少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の資産を一括経費計上可能 |
役員給与の損金算入 | 定期同額給与等の損金算入が認められる |
給与支払事務所等の開設届出書
従業員を雇用する予定がある場合は、会社設立から1ヶ月以内に提出します。
この届出により源泉徴収義務者として登録されます。
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
通常、源泉所得税は毎月納付する必要がありますが、この申請をすることで年2回(7月と1月)の納付に変更できます。
従業員が10人未満の小規模事業者に適用される特例です。
消費税関連の届出
資本金が1,000万円未満の合同会社は、設立から2年間は消費税の納税が免除されます。
ただし、次の届出が必要な場合があります。
- 消費税課税事業者選択届出書(課税事業者になることを選択する場合)
- 消費税簡易課税制度選択届出書(簡易課税制度を選択する場合)
これらの税務署への届出は、設立初年度の経営に大きく影響するため、期限を逃さないよう注意しましょう。
特に青色申告の特典は大きいため、必ず申請することをお勧めします。
社会保険や労働保険の手続き
従業員を雇用する場合は、社会保険や労働保険の加入手続きが必要です。
これらは法的義務であり、怠ると罰則の対象となる場合があります。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入手続き
従業員を雇用する場合、原則として会社設立から5日以内に年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出する必要があります。
社会保険加入時の必要書類 | 備考 |
---|---|
健康保険・厚生年金保険新規適用届 | 会社の基本情報を記載 |
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 | 従業員ごとに作成 |
登記事項証明書 | 発行後3ヶ月以内のもの |
社会保険料口座振替依頼書 | 保険料の引き落とし口座を指定 |
小規模な合同会社でも、従業員が常時1名以上いれば社会保険への加入義務があります。
役員のみの場合でも、業務実態によっては加入が必要なケースがあります。
労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続き
従業員を1人でも雇用したら、労働基準監督署と公共職業安定所(ハローワーク)で手続きを行う必要があります。
- 労働保険関係成立届:従業員を雇用した日から10日以内に労働基準監督署に提出
- 労働保険概算保険料申告書:同じく労働基準監督署に提出
- 雇用保険適用事業所設置届:ハローワークに提出
- 雇用保険被保険者資格取得届:従業員を雇用した日から10日以内にハローワークに提出
社会保険と労働保険の加入は法的義務であり、加入を怠ると遡って保険料を請求されるだけでなく、追徴金が発生する場合もあります。
合同会社の設立直後から適切に対応しましょう。
銀行口座開設の流れ
事業を円滑に進めるためには、法人名義の銀行口座が不可欠です。
合同会社設立後、できるだけ早く開設手続きを進めましょう。
法人口座開設に必要な書類
銀行によって若干の違いはありますが、一般的に以下の書類が必要です。
- 登記事項証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 会社実印と印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 代表社員の本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 定款(銀行によっては求められる場合があります)
- 法人番号確認書類(法人番号指定通知書など)
銀行選びのポイント
法人口座を開設する銀行を選ぶ際は、以下の点を考慮するとよいでしょう。
確認ポイント | 内容 |
---|---|
手数料 | 月額維持費、振込手数料、ATM利用料など |
営業店舗の利便性 | 会社所在地の近くに支店があるか |
オンラインバンキングの充実度 | UI/UXの使いやすさ、機能の充実度 |
融資の可能性 | 将来的な融資を考慮した関係構築 |
合同会社は株式会社に比べて歴史が浅いため、一部の銀行では口座開設の審査が厳しい場合があります。
あらかじめ複数の銀行の条件を調査しておくことをお勧めします。
口座開設までの期間
銀行口座の開設には通常1週間〜2週間程度かかります。
審査がスムーズに進まない場合はさらに時間がかかることもあるため、余裕をもって手続きを進めましょう。
法人口座は事業運営において非常に重要な役割を果たします。
出資金の管理、売上金の受け取り、経費の支払いなど、事業活動のあらゆる資金の流れを一元管理するために、できるだけ早く開設することをお勧めします。
各種許認可申請の必要性
業種によっては、合同会社設立後に特定の許認可を取得する必要があります。
無許可で事業を始めると法律違反となる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
主な許認可が必要な業種
業種別に必要となる主な許認可は以下の通りです。
業種 | 必要な許認可 | 申請先 |
---|---|---|
飲食店 | 飲食店営業許可 | 保健所 |
不動産業 | 宅地建物取引業免許 | 都道府県庁または国土交通省 |
建設業 | 建設業許可 | 都道府県庁または国土交通省 |
旅行業 | 旅行業登録 | 観光庁または都道府県庁 |
人材派遣業 | 労働者派遣事業許可 | 厚生労働省 |
古物商(中古品販売) | 古物商許可 | 所轄警察署 |
酒類販売 | 酒類販売業免許 | 税務署 |
許認可申請のタイミング
許認可によっては、申請から取得までに数か月かかるものもあります。
事業開始予定日から逆算して、十分な余裕を持って申請手続きを進めることが重要です。
- 合同会社設立前から準備できるもの(事前相談など)
- 合同会社設立直後に申請すべきもの
- 事業所や店舗などの物件が決まってから申請するもの
許認可申請の一般的な流れ
- 必要な許認可の確認(事業内容から該当する許認可を調査)
- 申請要件の確認(資格、設備、人員など)
- 申請先への事前相談(スムーズな申請のため)
- 必要書類の準備と申請
- 現地調査(必要な場合)
- 許認可の取得
事業内容によっては複数の許認可が必要となる場合もあります。
また、自治体によって細かい要件が異なることもあるため、早めに管轄官庁や自治体に相談することをお勧めします。
許認可なしで事業を開始すると、業務停止命令や罰金などの行政処分を受ける可能性があります。
許認可取得後の義務
許認可を取得したら、それぞれの法令で定められた義務を遵守する必要があります。
主な義務としては以下のようなものがあります。
- 定期的な報告義務
- 帳簿の備付けと保管
- 標識の掲示
- 更新手続き(有効期限がある場合)
- 変更届の提出(社名、所在地、代表者などに変更があった場合)
これらの義務を怠ると、許認可の取消しや業務停止などの処分を受ける可能性があるため、しっかりと管理しましょう。
合同会社設立後のこれらの手続きは、事業を合法的かつスムーズに進めるために不可欠です。
タイムリミットがあるものも多いため、設立手続きと並行して準備を進め、漏れのないように対応することが重要です。
特に税務関係の届出や社会保険の手続きは、後から大きなトラブルになりやすいため、専門家のアドバイスを受けながら確実に進めることをお勧めします。
合同会社設立でよくある失敗例と対処法

合同会社を自分で設立する際には、様々な落とし穴が存在します。
専門知識がない方が陥りやすい失敗例とその対処法を知っておくことで、スムーズな会社設立が可能になります。
ここでは実際にあった失敗事例とその解決策をご紹介します。
書類不備による登記却下の事例
合同会社設立時に最も多いトラブルが、書類不備による登記申請の却下です。
一度却下されると再申請が必要となり、時間とコストのロスにつながります。
登記申請書類の不備は、合同会社設立手続きの最大の障壁となっています。
法務局によると、個人による申請の約30%が何らかの不備で却下されているというデータもあります。
よくある書類不備の事例
不備の種類 | 具体例 | 対処法 |
---|---|---|
押印漏れ | 登記申請書や就任承諾書への押印忘れ | 提出前のチェックリストを作成し、すべての書類の押印欄を確認する |
住所表記の不一致 | 申請書と添付書類で住所表記が異なる | すべての書類で住所表記を統一(「丁目」と「-」など) |
添付書類の不足 | 資本金の払込証明書の添付漏れ | 法務局のウェブサイトで必要書類リストを入手し確認する |
印鑑相違 | 印鑑届出書と実際の印鑑が異なる | 必ず同一の実印を使用し、印影をコピーして保管する |
登記申請前に、法務局のホームページで提供されている「登記申請チェックリスト」を活用することで、このような不備を防ぐことができます。
また、不安な場合は法務局の窓口で事前相談を利用するのも効果的です。
定款作成時の注意点
定款は会社の憲法とも言える重要書類です。
電子定款で認証不要とはいえ、内容に不備があると登記が却下されるだけでなく、将来的なトラブルの原因にもなります。
定款作成の主な失敗例
事業目的の記載不備は最も多い失敗の一つです。
あまりに具体的すぎる事業目的や、逆に抽象的すぎる表現は登記官に疑義を持たれる原因となります。
例えば「インターネットを利用した各種情報提供サービス」という表現は適切ですが、「ウェブサイト制作」だけでは範囲が狭すぎる可能性があります。
また、法令や公序良俗に反する事業目的を記載してしまうケースもあります。
「風俗営業」など許認可が必要な事業は、適切な表現で記載する必要があります。
定款作成時のミス防止策
- 他社の定款サンプルを複数参照する
- 業界特有の規制がある場合は事前に調査する
- 将来的な事業拡大も考慮した事業目的を記載する
- 特殊な規定を入れる場合は専門家に相談する
定款の雛形はインターネット上で多数公開されていますが、単にコピーするのではなく、自社の実情に合わせてカスタマイズすることが重要です。
特に独自の出資比率や配当ルールを定める場合は、法的な整合性を確認しましょう。
出資金払込証明書類の不備
合同会社設立時に最も見落としがちなのが、出資金の払込証明書類に関する不備です。
この証明が適切でないと、登記申請が却下される主要因となります。
出資金関連の失敗事例
代表社員の個人口座に出資金を入金してしまうケースが多く見られますが、これは原則として認められません。
会社の実体を証明するためには、会社の準備口座(発起人口座)を用意する必要があります。
また、出資証明書の日付が会社設立の日付より後になっているケースや、出資者の印鑑が届出印と異なるケースも却下理由となります。
よくある失敗 | 正しい対処法 |
---|---|
代表社員の個人口座への入金 | 発起人名義の専用口座を開設し、その口座に入金する |
出資証明書の日付ミス | 定款作成日以降、登記申請日以前の日付にする |
出資金額の記録不備 | 通帳のコピーと出資証明書の金額を一致させる |
現物出資の評価不足 | 現物出資は可能な限り避け、現金出資を選択する |
特に現物出資を行う場合は注意が必要です。
検査役の選任が不要な少額の現物出資であっても、適正な評価額の証明が求められます。
パソコンや事務機器などを出資する場合は、購入時の領収書や市場価格の証明となる資料を準備しましょう。
事業目的設定の失敗
事業目的の設定は将来的な事業展開にも影響する重要な要素です。
しかし、初めて会社を設立する方にとっては、適切な事業目的の設定が難しいケースが多いようです。
事業目的設定における主な失敗
事業目的をあまりに限定的に設定してしまうと、事業拡大時に定款変更が必要になり、余計なコストと手間がかかります。
一方で、将来やるかもしれないと考えて無関係な事業をたくさん列挙すると、登記官から疑義を呈されることがあります。
特に許認可が必要な事業については、適切な表現で記載しないと許認可申請時に問題が生じる可能性があります。
例えば、不動産業を営む場合は「宅地建物取引業」という正確な表現が必要です。
適切な事業目的設定の例
業種 | 不適切な記載例 | 適切な記載例 |
---|---|---|
IT関連 | ウェブサイト制作 | インターネットを利用した各種情報提供サービス業 ウェブサイトの企画、制作、運営及び管理 |
飲食業 | カフェ経営 | 飲食店の経営 食料品の製造、販売及び輸出入 |
コンサルティング | 経営コンサル | 経営コンサルティング業 各種企業の経営に関する診断、指導及び助言 |
不動産 | 不動産売買 | 宅地建物取引業 不動産の売買、賃貸、管理及び仲介 |
事業目的を設定する際は、現在行う予定の事業だけでなく、近い将来に展開する可能性のある事業も含めておくと良いでしょう。
また、最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」という文言を入れておくことで、ある程度の柔軟性を持たせることができます。
許認可が必要な事業目的の注意点
許認可が必要な業種を事業目的に含める場合は、その許認可を取得できる見込みがあることが前提となります。
実際に許認可を取得する予定がないのに事業目的に含めると、虚偽申請として問題になる可能性があります。
例えば、古物商や酒類販売業、建設業などは許認可が必要な代表的な業種です。
これらを事業目的に含める場合は、登記完了後すぐに許認可申請の準備を進めることをお勧めします。
以上のような失敗例と対処法を理解しておくことで、合同会社設立手続きをスムーズに進めることができます。
特に初めて会社を設立する場合は、これらの落とし穴に注意しながら、慎重に手続きを進めていくことが重要です。
専門家に依頼すべきケースと自分で行うべきケース

合同会社の設立は基本的に自分で行うことができますが、状況によっては専門家に依頼した方が安全で効率的な場合があります。
この章では、どのような場合に自分で設立手続きを進めるべきか、また専門家の助けを借りるべきケースについて詳しく解説します。
複雑な出資構成の場合の注意点
合同会社は比較的シンプルな会社形態とはいえ、出資構成が複雑になると自分での設立手続きに困難が生じる場合があります。
出資構成のパターン | 難易度 | 推奨対応 |
---|---|---|
一人で全額出資 | 簡単 | 自分で可能 |
少人数(2〜3人)の均等出資 | やや簡単 | 自分で可能 |
多数の社員による不均等出資 | 複雑 | 専門家に相談推奨 |
法人が出資者に含まれる | 非常に複雑 | 専門家への依頼が必須 |
特に注意すべきは以下のようなケースです:
- 出資比率に応じた利益配分や議決権の調整が必要な場合
- 社員間で特殊な権利関係を設定したい場合
- 将来的な出資持分の譲渡を見据えた規定を盛り込みたい場合
このような場合は、定款作成時に専門的な法律知識が必要となり、弁護士や司法書士などの専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
特に出資比率と経営権の調整については、後々のトラブルを避けるためにも専門家の助言が重要です。
外国人が出資者になる場合の留意点
外国人が合同会社の出資者(社員)になる場合は、いくつかの追加的な手続きや確認事項が発生します。
在留資格の確認
外国人が日本国内で事業を行うためには、適切な在留資格が必要です。
特に代表社員になる場合は重要な確認事項となります。
在留資格 | 合同会社設立への関与 | 留意点 |
---|---|---|
経営・管理 | 代表社員として最適 | 事業計画の具体性・実現可能性の証明が必要 |
永住者・日本人配偶者等 | 制限なく可能 | 特に問題なし |
技術・人文知識・国際業務 | 出資は可能だが活動に制限 | 本来の活動の範囲内であるか確認が必要 |
短期滞在 | 代表社員として不適切 | 在留資格変更が必要 |
本人確認と印鑑証明の代替手段
外国人の場合、日本の印鑑証明書が取得できないケースが多く、代替手段として署名証明書が必要になります。
- 母国の公証人役場で署名証明書を取得(アポスティーユ認証が必要な場合も)
- 在日大使館・領事館での署名証明(国によって対応が異なる)
- 日本の公証役場での宣誓供述書の作成
これらの手続きは複雑で、言語の問題も絡むため、外国人が出資者や代表社員となる場合は、国際業務に精通した司法書士や行政書士に依頼することを強く推奨します。
通訳・翻訳の問題
法務局提出書類は基本的に日本語で作成する必要があり、外国語の書類には翻訳文を添付する必要があります。
また、登記申請時の面談が必要な場合は通訳が必要になることもあります。
言語の壁により誤った理解や説明不足が生じると、会社設立後のガバナンスに問題が生じる可能性があるため、専門家のサポートが不可欠です。
自分で行うことが難しい状況の見極め方
合同会社設立を自分で行うか専門家に依頼するかの判断基準として、以下のポイントを確認してみましょう。
時間的制約の検討
設立手続きにかかる時間は、準備から登記完了まで通常2〜4週間程度必要です。
以下の場合は専門家への依頼を検討すべきでしょう:
- 急いで会社を設立する必要がある場合(契約や入札のため等)
- 本業が忙しく書類作成に十分な時間を割けない場合
- 行政機関の営業時間内に手続きを行うことが難しい場合
専門家に依頼すれば、最短で1週間程度での設立も可能ですが、費用は増加します。
時間と費用のバランスを考慮して判断しましょう。
法律・会計知識の自己評価
以下のような場合は、専門家のサポートが必要と考えられます:
- 法律文書の読解や作成に不安がある
- 会社法や商業登記法の基本的な知識がない
- 税務上の最適な判断ができない(資本金額の決定など)
- 電子定款の作成や電子証明書の取得・利用に不安がある
特に初めて会社を設立する場合は、一度専門家に相談することで、将来的なリスクを減らせる可能性があります。
業種特有の規制への対応
業種によっては特別な許認可や規制があり、定款の事業目的や会社設立後の手続きが複雑になることがあります。
業種 | 必要な許認可・特殊要件 | 推奨対応 |
---|---|---|
建設業 | 建設業許可、専任技術者の設置 | 専門家に相談推奨 |
不動産業 | 宅地建物取引業免許 | 専門家に相談推奨 |
飲食業 | 食品衛生責任者、飲食店営業許可 | 専門家に相談推奨 |
IT・コンサルティング | 特別な許認可不要のケースが多い | 自分で可能なケースが多い |
規制業種の場合、会社設立と同時に許認可申請の準備も必要になるため、業界特有の知識を持つ専門家のサポートを受けることで手続きをスムーズに進められます。
将来的な会社の発展計画
現在は小規模でスタートしても、将来的に以下のような計画がある場合は、最初から専門家に相談することをお勧めします:
- 将来的に株式会社への組織変更を検討している
- 投資家からの資金調達を予定している
- 海外展開や外国企業との取引を計画している
- 複数の事業を展開する予定がある
特に会社の成長や組織変更を見据えている場合は、将来のコストや手間を節約するためにも、設立段階から適切な助言を受けることが重要です。
コスト比較と投資対効果の考え方
最終的な判断材料として、自分で行う場合と専門家に依頼する場合のコスト比較を行いましょう。
項目 | 自分で行う場合 | 専門家に依頼する場合 |
---|---|---|
登録免許税 | 6万円(資本金の0.7%、最低6万円) | 6万円(同左) |
定款認証不要のメリット | 公証人手数料5万円が不要 | 同左 |
専門家報酬 | 0円 | 5〜15万円程度 |
自分の時間コスト | 10〜20時間程度 | 2〜3時間程度(打ち合わせ等) |
ミスによる追加コスト | 発生リスクあり | 専門家負担の場合が多い |
自分で設立する場合の金銭的コストは最小限に抑えられますが、時間的コストやミスによる追加手続きのリスクがあります。
一方、専門家に依頼すれば、手続きの確実性と時間の節約というメリットがあります。
自分の時間の価値や事業の急ぎ具合、手続きの複雑さを総合的に判断して決定するのが賢明です。
また、部分的に専門家のサポートを受けるという折衷案も検討できます(例:定款作成のみ専門家に依頼し、その他は自分で行うなど)。
専門家選びのポイント
専門家に依頼する場合は、以下のポイントを確認して選びましょう:
- 合同会社設立の実績と経験
- 明確な料金体系(追加料金の有無)
- 依頼者の業種への理解度
- アフターフォロー(設立後の手続きサポート)
- 相談のしやすさとコミュニケーション
費用だけでなく、相性や専門性も重視して選ぶことで、スムーズな会社設立と良好な関係構築ができます。
まとめ
合同会社は株式会社より設立手続きが簡単で、自分で行うことで大幅なコスト削減が可能です。
本記事で解説した電子定款の作成、登記申請書類の適切な準備、出資金の払込証明書の正確な作成など、各ステップを丁寧に進めれば、専門家に依頼せずとも約6万円程度で設立できます。
特に定款認証不要の点は大きなメリットです。
ただし、複雑な出資構成や外国人出資者がいる場合は専門家への相談も検討すべきでしょう。
設立後の税務署への届出や銀行口座開設などの手続きも忘れずに行いましょう。
事業目的は将来の事業展開も見据えて幅広く設定し、書類不備による登記却下を避けるため、申請前の最終確認を徹底することがスムーズな合同会社設立の鍵となります。