株式会社設立時の適切な人数とは?メリット・デメリットも紹介

株式会社の設立に必要な人数や役職構成、法律上のポイントをわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、一人または複数人で株式会社を設立する場合のメリット・デメリットや、最適な人数の選び方、他の法人形態との違いまで網羅的に理解できます。

結論として、株式会社は一人でも設立が可能ですが、人数による特徴や注意点を把握し、事業内容に合った最適な形態を選択することが重要です。

株式会社設立に必要な最低人数の基礎知識

株式会社を設立する際には、定款作成や登記申請などいくつかの法的要件を満たす必要があります。
特に「株式会社を設立するために必要な人数」については、会社法の規定が重要なポイントとなります。

この章では、株式会社設立時における最低限必要な人数や役割分担について、わかりやすく解説します。

日本における株式会社の設立には、かつては最低でも7名の発起人が必要とされていました。
しかし、2006年(平成18年)に施行された新会社法により、「株式会社は発起人1名から設立できる」ようになりました。
これは個人事業主が法人化しやすくなった背景でもあり、多様なビジネススタイルに対応する法改正と言えます。

区分会社法施行前現行会社法
株式会社設立時の最低人数発起人 7名以上発起人 1名以上

現在は発起人1名のみでも、株式会社を設立することが可能です。
このため、個人でのビジネス展開も法的に広く認められるようになっています。

株式会社を設立する際には、「発起人」と「取締役」の人数設定が必要です。

それぞれの人数要件は下記の通りです。

役割必要な人数(現行法)備考
発起人1名以上個人でも法人でも可
取締役1名以上監査役設置会社の場合の構成に注意

発起人とは、会社設立時に定款を作成し、資本金の払い込みなど設立手続きを推進する役割のことです。
また、設立と同時に選任される取締役も、1名から選任が可能です。

なお、「取締役会」を設置する場合は取締役が3名以上必要になるため、事業規模や組織構成に応じて、人数を調整する必要があります。

また、監査役を置く場合や大会社の場合には、最低人数など、追加要件が発生するケースがありますので、個別の事例ごとに会社法の規定を確認しましょう。

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少人数で株式会社を設立する場合の特徴

株式会社は現行法(会社法)上、発起人および取締役がそれぞれ1人から設立可能です。
そのため、個人でも株式会社を設立することが一般化しています。

以下に、一人株式会社の主なメリットを整理します。

メリット内容
意思決定の迅速化自分一人で全ての意思決定ができ、経営方針や事業戦略をスピーディーに進められます。
株式・利益の独占発行株式をすべて自分で所有でき、会社の利益や配当、議決権を全て一人で管理できます。
プライバシーの確保他者と情報共有が不要なため、事業内容や経営戦略を外部に漏れにくくできます。
設立手続きが簡便出資割合や役員構成を協議する必要がなく、会社設立の手続きもシンプルです。
個人事業と比較した社会的信用力の向上法人格を持つことで、取引先や金融機関からの信頼度が高くなります。

IT関連やコンサルティングなど、比較的少人数で運営可能な事業分野では、一人株式会社の設立が効果的な選択肢となることが多いです。

少人数、特に一人で株式会社を設立する場合、その反面としてデメリットやリスクについても理解しておく必要があります。

以下のような点が挙げられます。

デメリット・リスク詳細内容
業務負担の集中代表者がすべての業務や責任を負うため、負担が大きくなりがちです。
多角的な意見が得られない意思決定が独断的になりやすく、経営判断を誤るリスクがあります。
病気や事故時のリスク代表者が不在の場合、事業継続が困難になるなどのリスクがあります。
客観的な監督がない取締役会を設置しない限り監督機能が働きにくいため、不正やミスが表面化しにくくなります。
資金調達の制約出資者が自分だけのため、大規模な資金調達には向きません。
後継者問題事業承継の際に株式譲渡や役員選任などの手続きが複雑になりがちです。

将来的に事業拡大や外部資本の導入を目指す場合には、設立当初から複数名体制や取締役会設置の検討も重要となります。

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複数人数で株式会社を設立する場合の特徴

株式会社を複数人で設立する場合には、経営リソースやノウハウ、人脈などを持ち寄ることができるという大きなメリットがあります。

発起人数が多いほど、多様なバックグラウンドや知見を経営に生かすことができ、意思決定の幅が広がります。
また、資本金の負担を分散したり、設立初期の業務分担がしやすい点も魅力です。

さらに、複数人が出資することで資本面の信頼性が増し、金融機関や取引先からの信用を得やすくなる場合があります。
特に、「信頼性」や「継続性」を重視されるビジネスモデルの場合、複数人で設立した株式会社は社外からの評価も高まりやすい傾向があります。

メリット具体例
資金力の強化発起人複数で出資し、資本金を増やせる
ノウハウや人脈の共有役員それぞれの強みを活かせる
意思決定の多角化協議や合議によりバランスの良い判断ができる
業務の分担営業・経理・開発など分業体制構築が容易
社会的信用の向上外部評価で「しっかりした会社」と見なされやすい

複数人で株式会社を設立する場合、意思決定までに時間がかかる、経営理念や方向性の違いからトラブルが生じやすいなどのデメリットが考えられます。

設立前にきちんと役割分担や経営方針を明確にしていない場合、後々の経営上の対立や、経営権の争いにつながるリスクもあります。

出資比率や株式保有割合をめぐってあらかじめ取り決めをしておかないと、「経営権をめぐる争い」や「方向性の不一致による退任」など、経営の混乱を招く原因になりやすいです。
また、取締役を複数置く場合は、代表取締役の選任や、役割・責任の明確化が不可欠です。

実際の運営においては、設立メンバーの中でどのように株式を分配するか、万が一の退社時や追加出資時の取り扱いを事前に合意しておくことが重要です。

会社法など関連法規も踏まえた定款作成や、株主間契約締結も推奨されます。

デメリット注意点・対策
意思決定の遅れ議決権や決議方法ルールを定款などで明確化
方向性の対立経営理念の共有・株主間契約書の締結
出資比率トラブル株式比率や譲渡条件を事前協議し定める
責任分担の曖昧さ役職・職務内容を具体的に決める
退社・離脱時の混乱買戻し条件や退社ルールを定款等で規定

複数人数での設立は、多角的な成長が見込める一方で、確実な取り決め・合意形成が不可欠です。

円滑な経営を続けるためにも、将来を見据えた具体的なルール整備、そして定期的な話し合いの機会を設けることが大切です。

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株式会社設立における最適な人数の考え方

株式会社を設立する際に、どのくらいの人数で始めるべきかは事業規模や業種、将来的なビジョンによって最適解が異なります。

現行の会社法では「発起人は1人以上」「取締役も1人以上」で株式会社が設立できますが、実際に運営する上では複数体制のメリットもあります。

少人数、いわゆる「一人株式会社」の場合は、意思決定の機動性や利益独占などが大きなメリットとなります。
その一方、事業が複雑化した際や規模拡大のタイミングで負担が重くなる可能性があります。

事業内容がシンプルで、経営戦略も明確な場合は少人数でも十分運営可能です。

一方、複数人数での設立は共同経営による人員分担や知見・ネットワークの拡大、資金調達力の強化が特徴です。
ただし、経営方針のすり合わせや意思決定に時間がかかる場合があるため、発起人同士で設立趣旨や事業計画について十分な合意形成を行う必要があります。

設立人数特徴適しているケース
1人経営の自由度が高い、意思決定が迅速、利益の独占可小規模・個人の専門性を生かす事業、スタートアップ
2〜3人経営リスクの分散、資金・知識の補完、役割分担がしやすいパートナー同士で補完しあえる分野、新規事業
4人以上大規模展開、複数部署の分担、資本金形成が容易多事業展開、初期から組織的運営が必要な場合

自社の事業目的や将来の成長戦略を明確にした上で、必要とされる経営判断・実務作業のボリューム、人材のスキルバランスなどを総合的に考慮し、最適な人数を決定することが重要です。

株式会社設立時の人数を決定した後でも、事業の拡大や方針転換、新しいパートナーの参画などによって人員構成を変更することができます。

具体的には、株主(発起人)の増減、取締役や監査役の追加・変更などが会社法に基づいて可能です。

増員や役員・株主の変更には株主総会による決議や、登記申請などの法的な手続きが必要となります。
また、増員の際には新たなメンバーの選定基準や業務分担、報酬体系、株式持分の調整などを事前に協議しておくことがトラブル予防に役立ちます。

特に会社規模が拡大するタイミングでは、経営体制の見直しやガバナンス強化のための役員増員、多様な人材の採用戦略が重要です。

設立後も柔軟な人事戦略を考えることで、持続的な成長につなげることができます。

人員変更の例主な手続き注意点
取締役の追加株主総会の特別決議、法務局登記定款に規定がある場合は定款変更も必要
株主の追加株式発行、払込、株主名簿の更新持分比率や配当方針の見直しが必要
監査役の設置株主総会決議、登記所への申請会社規模や定款規定による要否の確認が必要

このように株式会社の人員体制は、状況に応じて変更が可能であり、設立後の柔軟な対応力が事業の持続的発展に直結します。

最適な人数や人員構成は、経営環境の変化や新たなビジネス展開に合わせて見直すことをおすすめします。

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設立人数による他の法人格との比較

株式会社以外にも、合同会社(LLC)や合資会社、合名会社など複数の法人形態が日本には存在します。
これらの法人格ごとに設立に必要な人数や運営方法、そして責任範囲などに違いがあります。

下記の表で、主な法人格について設立人数や特徴を比較します。

法人格設立に必要な人数主な責任形態特徴
株式会社1名以上有限責任発起人も取締役も1名から設立可能。組織運営の自由度が高い。信頼性が高いため、資金調達や人材確保にも有利。
合同会社(LLC)1名以上有限責任所有と経営が一致。設立・運営コストが低く、大企業から個人事業主の法人化まで幅広く利用される。
合資会社2名以上有限責任社員+無限責任社員共同経営に向くが、無限責任社員を最低1名必要とする点がリスク。同族経営や小規模事業で使われることがある。
合名会社2名以上全員無限責任設立は容易だが、全員が無限責任を負う。現在は新規設立は非常に少ない。

合同会社や合資会社は設立メンバーが少数でも設立可能ですが、責任範囲や組織運営のルールが株式会社とは大きく異なります。

経営参加の自由度や会社としての社会的信用度、資金調達の方法など選択時に注目すべきポイントが多いため、慎重に比較検討する必要があります。

設立人数が少ないメリットと法人格別の注意点

株式会社や合同会社は「一人会社」が可能である一方、合資会社や合名会社は最低2名が必要です。
設立人数が少ない場合、決算や意思決定が迅速で、運営コストも抑えられますが、

  • 銀行等からの信頼性は株式会社が最も高い
  • 合同会社は対外的な認知度や信用度がまだ発展途上
  • 合資会社・合名会社はパートナー間の責任問題に注意が必要

など、規模や目的、経営体制に応じて最適な法人形態を選択することが重要です。

法人格の選択は、設立人数だけでなく、事業の規模・将来の成長戦略・資金調達手段・経営への関与度合い・責任の範囲や信頼性といった複数の観点から総合的に判断する必要があります。

例えば、スタートアップで将来的に外部からの資本を受け入れて規模を拡大したい場合は株式会社が推奨されます。

少人数で柔軟に経営を行いたい、自分で全ての意思決定をしたい場合は合同会社が適していることもあります。

親族や特定メンバー間のみで閉じた信頼関係内での運営なら合資会社や合名会社が検討される場合もあるでしょう。

以上のように、法人設立においては、単純に設立人数の要件だけではなく、経営方針や事業の将来像も見据えて最適な法人形態を選択する必要があります。

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株式会社設立時の人数に関するよくある質問

株式会社設立において、発起人や取締役を親族だけで構成することは可能です。
現在の会社法では、発起人および取締役に対する親族関係の制限は設けられていません。
そのため、例えば夫婦や親子、兄弟姉妹だけで株式会社を設立する事例も多く見られます。

ただし、経営責任や利益配分、後継者問題など親族間特有のトラブルが生じる場合もあるため、設立前に役割や責任分担、意思決定の方法を明確にしておくことが重要です。
また、税務面でもみなし役員報酬や関連当事者取引に注意が必要となるケースがあります。

株式会社設立時には、個人だけでなく法人も発起人となることが可能です。
会社法上、発起人の資格に国籍や法人・個人の別を問う定めはなく、既存の株式会社や合同会社、一般社団法人など各種法人も発起人として参加できます。

なお、法人が発起人となる場合、設立手続きの際には「法人の登記事項証明書」や「印鑑証明書」など所定の書類が必要となります。
また、法人印・代表者印の押印など実務上の手続きも個人発起人とは異なる点があるため注意が必要です。

株式会社は多様な人数構成で設立されることが一般的です。
以下の表に、典型的な設立パターンと、その特徴を示します。

設立人数構成例特徴
1名個人(単独設立、いわゆる一人会社)発起人・株主・取締役すべて同一人物で完結。意思決定が速く、設立費用も抑えられるが、事業拡大や社会的信用力には限界がある場合も。
2~3名友人・ビジネスパートナー同士や親族協力して資金調達や業務分担が可能。お互いのスキルや強みを活かしやすい反面、意思対立や責任分担の曖昧さに注意。
4名以上プロジェクトチーム・複数の法人や個人の合同多角的な経営や大規模事業に対応可能。組織体制やガバナンスの強化が求められ、議決権や株式比率など契約面も複雑化しやすい。

このように、株式会社の設立人数や構成は事業規模や目的によって柔軟に選択できます。
自社に最適な人数やメンバー構成を検討し、円滑な経営体制づくりを意識することが、安定した会社運営につながります。

まとめ

株式会社の設立に必要な人数は原則1名から可能ですが、事業内容や経営体制に応じた最適な人数選定が重要です。

少人数設立は迅速・柔軟な意思決定が可能な一方、リスク分散に課題があります。

自社の状況に合った設立形態を選ぶことが成功の鍵となります。

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