これから会社を設立するにあたり、「定款の事業目的はいくつまで書けるのか」「将来やりたい事業も今のうちに入れておくべきか」とお悩みではありませんか。
結論として、事業目的はたくさん記載しても法的に問題はありません。
しかし、会社の専門性が分かりにくくなる、融資で不利になる可能性があるといった注意点も存在します。
本記事では、事業目的をたくさん書くメリット・デメリットから、適法性・明確性といった登記の基本ルール、IT業やコンサル業など業種別の書き方具体例まで、行政書士が網羅的に解説。
この記事を読めば、将来の事業展開を見据えた最適な事業目的の定め方がわかります。
結論 定款の事業目的はたくさん書いても問題ありません
会社設立を考えたとき、「定款の事業目的はいくつまで書けるのだろう?」「将来やりたい事業も全部書いてしまって良いのだろうか?」と疑問に思う方は少なくありません。
結論から申し上げますと、定款に記載する事業目的の数に法的な上限はなく、たくさん書いても全く問題ありません。
実際に、多くの会社が将来の事業展開を見据えて、複数の事業目的を定款に記載しています。
むしろ、創業時にある程度幅広く事業目的を定めておくことは、将来の事業拡大をスムーズに進めるための賢明な戦略とも言えます。
なぜ事業目的をたくさん書く起業家が多いのか?
事業目的をたくさん書く最大の理由は、将来事業を追加する際の手間とコストを省くためです。
会社は定款に記載された事業目的の範囲内でしか事業を行うことができません。
もし定款に記載のない新規事業を始めたい場合、その都度、定款の事業目的を変更する手続きが必要になります。
この定款変更手続きは、株主総会での特別決議が必要な上、法務局での変更登記申請が求められます。
変更登記には登録免許税として3万円の費用がかかります。
事業を拡大するたびにこの手続きと費用が発生するのは、経営者にとって大きな負担です。
そのため、会社設立の段階で、将来的に手がける可能性のある事業をあらかじめ記載しておくケースが一般的なのです。
事業目的の数に法的な上限はない
改めて強調しますが、会社法などの法律には、事業目的の数を制限する規定は一切存在しません。
10個でも30個でも、あるいはそれ以上であっても、法的には何ら問題ありません。
公証役場での定款認証や、法務局での設立登記の際に「事業目的が多すぎる」という理由で手続きを拒否されることは、原則としてありません。
一般的な事業目的の数は?
法的な上限はないものの、実務上の目安は存在します。
一般的には、現在行う事業と近い将来(2〜3年以内)に開始する可能性のある事業を含め、10〜15個程度を記載する会社が多いようです。
もちろん、これはあくまで目安であり、会社のビジョンや事業計画によって最適な数は異なります。
事業目的の数による考え方の違いを、以下の表にまとめました。
| 事業目的の数 | 考え方・特徴 | メリット |
|---|---|---|
| 少ない(1〜5個程度) | 創業当初の事業に特化し、事業内容を明確にするケース。 | 会社の専門性が分かりやすく、取引先や金融機関からの信用を得やすい。 |
| 一般的(10〜15個程度) | 現在の事業に加え、将来展開する可能性のある関連事業までを記載するケース。 | 事業の柔軟性を確保しつつ、会社のコア事業が何かを対外的に示しやすい。 |
| 多い(20個以上) | 将来のあらゆる可能性を考慮し、M&Aなども視野に入れて幅広く記載するケース。 | 将来にわたって定款変更の手間とコストを削減できる可能性が最も高い。 |
このように、事業目的をたくさん書くことには合理的な理由があります。
ただし、やみくもに多く記載すれば良いというわけではありません。
会社の信頼性や融資、許認可の観点から注意すべき点も存在します。
次章以降でそのメリット・デメリットを詳しく解説していきますが、まずは「たくさん書いても法的には問題ない」という基本をしっかりと押さえておきましょう。
定款の事業目的をたくさん書く4つのメリット

会社の憲法ともいえる定款。
その中でも「事業目的」は、会社がどのような事業を行うのかを内外に示す重要な項目です。
将来行う可能性のある事業も含めて、事業目的をたくさん記載することには、多くのメリットがあります。
ここでは、会社設立を控えている方や、事業の多角化を検討している経営者の方に向けて、具体的な4つのメリットを詳しく解説します。
メリット1:将来の事業展開に柔軟に対応できる
ビジネス環境は常に変化しており、設立当初は想定していなかった事業にチャンスが生まれることも少なくありません。
その際、あらかじめ定款に関連する事業目的が記載されていれば、新たなビジネスチャンスを逃すことなく、迅速に事業をスタートできます。
例えば、Webサイト制作を主軸とする会社が、将来的に顧客からWebマーケティングやコンサルティングの依頼を受ける可能性を見越して、あらかじめ事業目的に「ウェブサイトの企画、制作、運営及びコンサルティング」「インターネット広告事業」などを加えておくケースです。
これにより、いざという時に定款変更の手続きをすることなく、スムーズに新規事業へ着手できます。
メリット2:事業目的変更の手間とコストを削減できる
会社設立後に事業目的を追加・変更する場合、法的な手続きが必要となり、時間と費用の両方がかかります。
具体的には、株主総会での特別決議と、法務局での変更登記申請が必要です。
これらの手続きには、登録免許税として3万円がかかるほか、司法書士などの専門家に依頼すれば別途報酬が発生します。
設立時に将来性を見越して事業目的を幅広く記載しておくことで、これらの手間とコストを将来にわたって削減できるのは、非常に大きなメリットです。
| 項目 | 設立時に記載した場合 | 後から変更・追加した場合 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 0円(設立時の費用に含まれる) | 30,000円 |
| 専門家への報酬(目安) | 0円(設立時の報酬に含まれる) | 30,000円~60,000円程度 |
| 合計 | 0円 | 60,000円~90,000円程度 |
このように、設立時に少し手間をかけるだけで、将来的に発生しうる数万円単位のコストを節約できるのです。
メリット3:新規事業をスピーディーに開始できる
メリット1と関連しますが、事業目的の変更登記手続きは、申請してから完了するまでに通常1週間から2週間程度の時間がかかります。
急いで始めたい新規事業や、提携先との契約が迫っている場合、このタイムラグが大きな機会損失につながる可能性があります。
定款に事業目的がすでに記載されていれば、社内で決定次第、すぐにでも事業を開始できます。
特に、許認可が不要な事業であれば、登記の完了を待つ必要がなく、ビジネスのスピード感を損なうことがありません。
この迅速な意思決定と行動は、競争の激しい現代のビジネスシーンにおいて強力な武器となります。
メリット4:関連事業を網羅しビジネスチャンスを広げられる
事業目的を複数記載することは、自社がどのような領域で事業を展開しているのか、また将来的に展開しようとしているのかを取引先や金融機関に示すことにもつながります。
特に、主軸事業と関連性の高い事業目的を網羅的に記載しておくことで、「この会社は特定の分野に精通しており、ワンストップで様々な依頼に対応できる」という専門性や対応力の高さをアピールできます。
例えば、内装工事業を営む会社が「リフォーム工事の請負」「店舗デザイン及び設計」「家具の販売」といった目的を加えておけば、顧客に対して幅広い提案が可能となり、受注機会の拡大につながる可能性があります。
漠然と数を増やすのではなく、自社の強みや事業の方向性を示す形で目的を記載することが、対外的な信頼獲得の一助となるのです。
定款の事業目的をたくさん書く際のデメリットと注意点

将来の事業展開を見据えて定款の事業目的をたくさん記載することにはメリットがある一方で、むやみに多く書きすぎると予期せぬデメリットや注意すべき点が生じる可能性があります。
ここでは、事業目的をたくさん書く際に考慮すべき3つのポイントを詳しく解説します。
会社の専門性が分かりにくくなる可能性
定款の事業目的は、会社の「顔」とも言える重要な情報です。
事業目的の数が多すぎたり、関連性のない事業が羅列されていたりすると、金融機関や取引先、顧客といった外部の関係者から「この会社は一体何が本業なのだろう?」という疑問を持たれ、専門性が伝わりにくくなる恐れがあります。
例えば、Web制作会社が「ITコンサルティング」「飲食店の経営」「アパレルの輸入販売」「不動産管理」など、関連性の薄い事業目的を多数並べていると、Web制作における高い技術力や専門性がぼやけてしまいかねません。
結果として「何でも屋」という印象を与え、専門性の高い依頼を逃したり、企業としてのブランドイメージ構築の妨げになったりする可能性があります。
融資審査で不利に働くケース
会社設立時の創業融資や、事業拡大のための追加融資を検討している場合、事業目的の多さが審査に影響を与えることがあります。
日本政策金融公庫や銀行などの金融機関は、融資審査において事業計画の実現可能性や代表者の事業遂行能力を厳しくチェックします。
その際、事業目的に本業と関連のないものが多数含まれていると、審査担当者から以下のような懸念を抱かれる可能性があります。
- 経営資源(ヒト・モノ・カネ)が分散し、本業に集中できないのではないか。
- 事業計画に一貫性がなく、場当たり的な経営に陥るリスクがあるのではないか。
- 代表者の経歴や経験と全く関係のない事業が目的として記載されており、実現可能性が低いのではないか。
特に創業融資では、代表者のこれまでの経験を活かせる事業であることが高く評価されます。
そのため、事業計画と関連性の薄い事業目的は、融資を申し込むタイミングまでに追加するなど、戦略的に記載を検討することが重要です。
許認可が必要な事業は特に注意が必要
事業内容によっては、事業を開始する前に国や都道府県から「許認可」を得なければなりません。
この許認可を申請する際には、定款の事業目的に、これから行う許認可事業の内容が明確に記載されていることが必須条件となります。
もし記載がなかったり、表現が曖昧だったりすると、許認可の申請が受理されなかったり、定款の目的変更手続きを求められたりして、事業開始が遅れてしまいます。
許認可が必要な事業を将来的に行う可能性がある場合は、あらかじめ正確な文言で事業目的に追加しておく必要があります。
ただし、現時点で許認可を取得する予定がないにもかかわらず、安易に許認可事業を記載することは推奨されません。
前述の通り、融資審査などで事業の実現性を疑われる一因となる可能性があるためです。
以下に、許認可が必要な代表的な事業と、定款に記載する際の注意点をまとめました。
| 許認可が必要な事業の例 | 定款の事業目的に関する注意点 |
|---|---|
| 建設業 | 「建設業」という包括的な記載だけでなく、申請する業種(例:「建築工事業」「内装仕上工事業」)を具体的に記載することが望ましいです。 |
| 宅地建物取引業 | 「不動産の売買、賃貸、仲介及び管理」など、法律で定められた業務内容を正確に記載する必要があります。 |
| 古物商 | 「古物営業法に基づく古物の売買及び交換」といったように、根拠法を示して記載することが一般的です。 |
| 人材派遣・職業紹介業 | 「労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業」や「有料職業紹介事業」など、事業の種類を明確に記載します。 |
| 飲食店営業 | 「飲食店の経営」や「喫茶店の経営」など、営業の形態が分かるように記載します。管轄の保健所によっては、テイクアウトやデリバリーに関する記載を求められる場合もあります。 |
| 産業廃棄物収集運搬業 | 「産業廃棄物収集運搬業」と明確に記載する必要があります。自治体によっては「(積替え保管を除く)」などの文言の追加を指導されるケースもあります。 |
これらの事業を計画している場合は、会社設立前に許認可の要件を管轄行政庁に確認するか、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
定款の事業目的を書くときに守るべき基本ルール

定款の事業目的は、将来の事業展開を見据えてたくさん記載することが可能です。
しかし、何を書いても良いというわけではありません。法務局での会社設立登記をスムーズに進め、社会的な信用を得るためには、守るべき4つの基本ルールが存在します。
これらのルールを無視すると、登記申請が受理されなかったり、後々の事業運営に支障をきたしたりする可能性があるため、必ず押さえておきましょう。
適法性
事業目的の第一のルールは「適法性」です。
これは、事業内容が法律に違反していないこと、そして公序良俗(社会の一般的な道徳観や秩序)に反していないことを意味します。
例えば、詐欺や密輸、その他法律で禁止されている犯罪行為を事業目的とすることは当然認められません。
また、弁護士資格がないのに法律事務を行うことを目的にしたり、医師免許がないのに医療行為を目的としたりするなど、特定の資格が必要な業務を無資格で行うことを示すような記載も不適法と判断されます。
適法性に欠ける事業目的は、法務局での登記申請が絶対に受理されません。会社の事業内容は、あくまで法律の範囲内で行われることが大前提となります。
営利性
株式会社や合同会社といった「会社」は、事業を通じて利益を生み出し、その利益を出資者(株主など)に分配することを目的とする法人です。
そのため、定款に記載する事業目的も「営利性」を持っている必要があります。
例えば、「慈善活動」「ボランティア活動」「寄付活動」といった非営利活動そのものを事業目的とすることは、営利を目的とする会社の本質にそぐわないため認められません。
ただし、これらの活動に関連する事業であっても、対価を得てサービスを提供する形であれば問題ありません。
例えば、「NPO法人やボランティア団体に対するコンサルティング業務」や「チャリティイベントの企画・運営およびそれに伴う収益事業」といった記載であれば、営利性が認められます。
重要なのは、その活動を通じて利益を追求する意思があるかどうかです。
明確性
事業目的は、第三者が見て「この会社が何をしているのか」を客観的に理解できる「明確性」が求められます。
これは、取引先や金融機関、顧客などが、会社の事業内容を正確に把握できるようにするためです。
抽象的すぎる表現や、複数の意味に解釈できるような言葉は避けるべきです。
例えば、単に「サービス業」や「コンサルティング業」と記載しただけでは、具体的にどのようなサービスやコンサルティングを提供するのかが不明確です。
登記官から補正を求められる可能性が高くなります。
誰が読んでも事業内容を具体的にイメージできるよう、客観的で分かりやすい言葉で表現することが重要です。
例えば、「経営コンサルティング業」「Webサイトの企画、制作、運営」「飲食店の経営」のように、事業の領域を特定して記載する必要があります。
具体性
「具体性」は明確性と密接に関連しますが、より事業の実態に即した内容であることが求められます。
登記実務上、どのような事業を行うのかが具体的に示されている必要があるのです。
どのような表現が適切か迷った場合は、総務省が定める「日本標準産業分類」を参考にすると良いでしょう。
この分類に記載されている表現を用いることで、登記官に事業内容が伝わりやすくなり、登記がスムーズに進む傾向があります。
将来的に行う可能性がある事業を記載する場合も、できるだけ具体的に記述しておくことが望ましいです。
事業を開始するたびに定款変更と変更登記を行うと、手間と費用(登録免許税3万円)がかかるため、設立時に将来性を見越して具体的に記載しておくことが賢明です。
| 抽象的な表現(悪い例) | 具体的な表現(良い例) |
|---|---|
| 物品販売業 | インターネットを利用したアパレル製品、服飾雑貨、アクセサリーの販売 |
| コンサルティング業 | 中小企業を対象とした経営戦略、財務、マーケティングに関するコンサルティング業務 |
| IT関連事業 | コンピュータソフトウェアの企画、開発、販売及び保守 |
| 代行サービス | 事務代行、経理代行及び営業代行業務 |
これらの4つの基本ルール「適法性」「営利性」「明確性」「具体性」をすべて満たすことで、法的に有効で、かつ社会的な信用を得られる事業目的を作成することができます。
【業種別】定款の事業目的の書き方と具体例を紹介

会社の事業目的は、将来の事業展開をどこまで見据えるかによって記載内容が変わってきます。
ここでは、これから会社を設立する方が特に多い主要な業種をピックアップし、定款に記載する事業目的の書き方と具体例を詳しく解説します。
ご自身の事業に近いものを参考に、アレンジしてご活用ください。
IT・Webサービス業の事業目的の具体例
IT・Webサービス業界は技術の進歩やトレンドの変化が非常に速い分野です。
そのため、設立当初の事業だけでなく、将来的に展開する可能性のある関連事業を幅広く記載しておくことが一般的です。
例えば、Webサイト制作から始まり、Webメディア運営、広告運用、システム開発へと事業を拡大するケースは少なくありません。
最初からこれらの可能性を事業目的に含めておくことで、事業拡大の際にスムーズに対応できます。
| 事業内容 | 事業目的の記載例 |
|---|---|
| Webサイト制作・開発 | インターネットのウェブサイト、ウェブコンテンツ及びホームページの企画、デザイン、開発、制作、販売、運営及び管理 |
| システム・アプリ開発 | コンピュータのソフトウェア、アプリケーション及びシステムの企画、設計、開発、販売、保守及びコンサルティング |
| Webマーケティング | インターネットを利用した広告、宣伝、マーケティングリサーチに関する業務 |
| メディア運営 | インターネットを利用した各種情報提供サービス及びメディア運営事業 |
| ITコンサルティング | ITに関するコンサルティング業務 |
| ECサイト運営 | 電子商取引(EC)サイトの企画、構築、運営及びそれらに関するコンサルティング |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
コンサルティング業の事業目的の具体例
コンサルティング業を事業目的とする場合、「何のコンサルティングを行うのか」を明確にすることが重要です。
単に「コンサルティング業務」と記載するだけでなく、「経営」「財務」「人事」「マーケティング」など、専門分野を具体的に示すことで、会社の専門性をアピールできます。
また、コンサルティング業務から派生して、セミナーや研修、執筆活動などを行うことも多いため、これらも記載しておくと良いでしょう。
| 事業内容 | 事業目的の記載例 |
|---|---|
| 経営コンサルティング | 企業の経営合理化及び戦略に関するコンサルティング業務 |
| マーケティング支援 | 市場調査、広告宣伝に関するコンサルティング及び代行業務 |
| 人事・組織コンサルティング | 人事、労務、採用、組織開発に関するコンサルティング業務 |
| 研修・セミナー事業 | 各種セミナー、講演会、研修の企画、立案、運営及び実施 |
| 執筆・出版 | 書籍、雑誌その他印刷物及び電子出版物の企画、執筆、編集及び出版 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
飲食業の事業目的の具体例
飲食業では、店舗での営業だけでなく、テイクアウトやデリバリー、ECサイトでの商品販売、イベントへの出店など、多角的な展開が考えられます。
これらの事業を行うためには、定款にその旨が記載されている必要があります。将来的な事業拡大の可能性を考慮し、幅広く記載しておきましょう。
なお、深夜0時以降もお酒を提供する場合は「深夜酒類提供飲食店営業」の届出が必要となり、事業目的に関連する記載が求められる場合があります。
| 事業内容 | 事業目的の記載例 |
|---|---|
| 店舗経営 | 飲食店、レストラン、カフェ、バー等の経営 |
| テイクアウト・デリバリー | 弁当、惣菜等の調理、加工及び販売 |
| EC・通信販売 | 食料品、飲料、酒類及び雑貨の企画、製造、加工、販売及び輸出入 |
| ケータリング・イベント出店 | ケータリングサービス及び各種イベントへの出張販売 |
| コンサルティング | 飲食店の開業、経営に関するコンサルティング業務 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
建設・不動産業の事業目的の具体例
建設業や不動産業は、事業を行うために国や都道府県からの許認可が必須です。
そして、その許認可を申請する際には、定款の事業目的に、これから行う事業内容が明確に記載されていることが絶対条件となります。
許認可の要件で定められた文言と定款の記載が一致しない場合、許認可が下りない可能性があるため、細心の注意が必要です。
建設業の具体例
建設業許可は29の業種に分かれています。
将来的に取得する可能性のある業種は、設立時点で定款に記載しておくことを強く推奨します。
例えば、「建築工事業」の許可を取得したい場合は、事業目的に「建築工事業」と正確に記載する必要があります。
| 事業内容 | 事業目的の記載例 |
|---|---|
| 総合建設業 | 土木工事業、建築工事業、大工工事業、とび・土工工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、内装仕上工事業、電気工事業、解体工事業 |
| 設計・監理 | 建築物の設計及び工事監理 |
| リフォーム | 住宅リフォーム及び増改築工事の請負 |
| 不動産関連 | 不動産の売買、賃貸、仲介及び管理 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
不動産業の具体例
宅地建物取引業の免許を取得するには、事業目的に「不動産の売買、交換、賃貸及びその仲介並びに管理」といった趣旨の文言が含まれている必要があります。
不動産管理やコンサルティングなど、関連事業もあわせて記載しておくと良いでしょう。
| 事業内容 | 事業目的の記載例 |
|---|---|
| 不動産取引 | 不動産の売買、交換、賃貸借及びその代理又は仲介 |
| 不動産管理 | 不動産の管理及び運営 |
| 不動産コンサルティング | 不動産の有効活用に関する企画、調査及びコンサルティング |
| 損害保険代理 | 損害保険代理業 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
人材紹介・派遣業の事業目的の具体例
人材紹介(有料職業紹介事業)や人材派遣(労働者派遣事業)も、厚生労働大臣の許可が必要な事業です。
これらの許可申請では、事業目的に法律に基づいた正確な文言が記載されているか厳しくチェックされます。
例えば、「労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業」や「職業安定法に基づく有料職業紹介事業」といった、法律名を明記した記載が求められます。
曖昧な表現では許可が下りないため、必ず法定の文言を入れましょう。
| 事業内容 | 事業目的の記載例 |
|---|---|
| 人材派遣 | 労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業 |
| 人材紹介 | 職業安定法に基づく有料職業紹介事業 |
| アウトソーシング | 事務処理、営業、販売促進等の業務請負事業 |
| 教育・研修 | 人材の育成、能力開発のための教育研修事業及びコンサルティング |
| 採用コンサルティング | 企業の採用活動に関するコンサルティング及び支援業務 |
| その他 | 前各号に附帯又は関連する一切の事業 |
会社設立後に定款の事業目的を変更・追加する方法

会社の成長や事業環境の変化に伴い、設立当初に定めた事業目的以外のビジネスに挑戦したいと考えることは自然な流れです。
ここでは、会社設立後に定款の事業目的を変更・追加するための具体的な手続きについて、株式会社と合同会社に分けて詳しく解説します。
事業目的の変更・追加が必要になるケース
事業目的の変更や追加は、以下のような場面で必要となります。
- 新規事業を立ち上げるため、その事業内容を事業目的に追加したい
- 取引先や金融機関から、実際の事業内容と登記されている事業目的に相違があると指摘された
- 将来的に参入を検討している事業を、あらかじめ事業目的に加えておきたい
- 許認可が必要な事業を始めるにあたり、事業目的にその旨を記載する必要がある
定款に記載されていない事業を行っても直ちに罰則があるわけではありませんが、融資や許認可の申請、あるいは取引先との契約において支障が出る可能性があります。
そのため、事業内容に変更や追加があれば、速やかに定款と登記を変更する手続きを行いましょう。
【株式会社】事業目的の変更・追加手続きの流れ
株式会社が事業目的を変更・追加する場合、社内での意思決定(定款変更)と、法務局への申請(変更登記)の2つのステップが必要です。
ステップ1:株主総会の招集と特別決議
定款の変更は、会社の根本規則に関わる重要な決定事項です。
そのため、株主総会を開催し、「特別決議」によって承認を得る必要があります。
特別決議は、通常の普通決議よりも要件が厳しく、原則として以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 議決権を行使できる株主の過半数が出席していること
- 出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成があること
この決議で、どの事業目的をどのように変更・追加するのかを具体的に決定します。
ステップ2:株主総会議事録の作成
株主総会で特別決議が可決されたら、その内容を証明するために「株主総会議事録」を作成します。
この議事録は、後の変更登記申請で法務局に提出する必須書類となります。
議事録には、開催日時、場所、出席した役員・株主、議案、決議の結果などを正確に記載し、議長および出席取締役が記名・押印します。
ステップ3:法務局への変更登記申請
株主総会での決議後、効力発生日(変更日)から2週間以内に、本店所在地を管轄する法務局へ変更登記申請を行います。
この期限を過ぎると過料(罰金)の対象となる可能性があるため、注意が必要です。
申請方法は、法務局の窓口に直接提出するほか、郵送やオンライン(G-BizIDが必要)でも可能です。
変更登記申請に必要な書類と費用
法務局へ変更登記を申請する際に必要となる主な書類と費用は以下の通りです。
必要な書類
| 書類名 | 概要 |
|---|---|
| 株式会社変更登記申請書 | 法務局のウェブサイトからダウンロードできます。変更する内容を記載します。 |
| 株主総会議事録 | 事業目的の変更を特別決議で承認したことを証明する書類です。 |
| 株主リスト | 株主総会の決議時点での株主構成を証明する書類です。 |
| 委任状 | 司法書士など代理人に手続きを依頼する場合に必要です。 |
必要な費用(登録免許税)
事業目的の変更登記には、登録免許税として30,000円が必要です。
この金額は、追加する事業目的の数に関わらず一律です。収入印紙を申請書に貼付して納付します。
【合同会社】事業目的の変更・追加手続き
合同会社の場合、株式会社とは手続きが異なります。
株主総会がないため、定款変更は原則として「総社員の同意」によって行います。
手続きの流れは以下の通りです。
- 総社員の同意を得る:全社員から事業目的の変更について同意を得て、「総社員の同意書」を作成します。
- 業務執行社員の過半数の同意を得る:定款変更の具体的な内容について、業務執行社員の過半数の同意を得て「業務執行社員の決定書」を作成します。(定款に別段の定めがある場合はそれに従います)
- 法務局への変更登記申請:同意を得てから2週間以内に、法務局へ変更登記を申請します。登録免許税は株式会社と同じく30,000円です。
事業目的の変更・追加における注意点
手続きを進める上で、特に注意すべき点が2つあります。
許認可が必要な事業
建設業、飲食業、人材派遣業、古物商など、事業を行うために国や都道府県の許認可が必要な業種があります。
これらの事業を新たに追加する場合、登記変更だけでなく、管轄の行政庁への許認可申請(または変更届)も別途必要になります。
登記だけ済ませても、許認可がなければその事業を適法に行うことはできませんので、必ず事前に確認しましょう。
融資への影響
事業目的を大幅に変更・追加した場合、金融機関によっては事業の一貫性が低いと判断され、融資審査で不利に働く可能性がゼロではありません。
特に、既存事業と関連性の薄い事業を多数追加する際には、なぜその事業を行うのか、事業計画などを通じて金融機関に対して明確に説明できる準備をしておくことが重要です。
まとめ
定款の事業目的は、将来の事業展開を見据えてたくさん記載しても法的な問題はありません。
事業拡大の際に定款変更の手間と費用を省けるメリットがある一方、会社の専門性が分かりにくくなる、融資で不利になる場合があるといった注意点も存在します。
事業目的を定める際は、適法性や明確性などの基本ルールを守ることが不可欠です。
本記事で紹介した具体例を参考に、ご自身の事業に合った事業目的を作成しましょう。
目的は設立後でも変更・追加が可能です。
