個人の確定申告を税理士に頼むか悩む方向けに、費用の相場や依頼すべきかの判断基準を分かりやすく解説します。
結論として、書類作成のみなら5万〜10万円、記帳代行からの丸投げは10万〜20万円ほどが費用相場です。
特に売上1,000万円を超える個人事業主や副業・不動産所得がある方は、高い節税効果や税務調査リスクの軽減が見込めるため税理士への依頼をおすすめします。
本記事を読むことで、依頼費用を抑えるコツや失敗しない税理士の選び方が分かり、損をせずスムーズに確定申告を完了できます。
1. 個人の確定申告を税理士に依頼する費用相場
個人事業主やフリーランスが税理士に確定申告を依頼する際の費用相場は、依頼する作業範囲や事業の売上規模によって大きく変動します。
事前に費用の仕組みを理解しておくことで、予算に合わせた適切な依頼方法を選択できます。
1.1 記帳代行から確定申告まで丸投げする場合の費用
日々の領収書整理や会計ソフトへの入力(記帳)から、確定申告書の作成・提出までをすべて税理士に任せる「丸投げ」の場合、費用相場は年間でおよそ10万円から25万円程度です。
領収書や通帳のコピーを渡すだけで済むため、本業に集中できる大きなメリットがあります。
ただし、仕訳の件数や領収書の枚数が極端に多い場合や、青色申告の65万円特別控除を適用するための複雑な記帳が必要な場合は、追加料金が発生することもあります。
1.2 決算と確定申告書類の作成のみを税理士に頼む費用
日々の記帳業務や会計ソフトへのデータ入力は自分で行い、年度末の決算処理と確定申告書の作成・提出のみを単発(スポット)で依頼する場合の費用相場は、およそ5万円から15万円程度です。
記帳代行費用がかからない分、丸投げに比べて費用を大幅に抑えることができます。
会計ソフトに入力したデータに間違いがないかを税理士にチェックしてもらえるため、自分で申告する際の計算ミスや節税の漏れを防ぐことが可能です。
1.3 売上規模による個人事業主の税理士費用一覧
税理士費用は、事業の売上規模(年商)に応じて段階的に高くなるのが一般的です。
売上が増えると取引件数や税務上のリスクが増加し、申告作業の難易度が上がるためです。
以下に、年間売上高に応じた確定申告費用の相場をまとめました。
| 売上規模(年商) | 申告書類作成のみ(スポット依頼) | 記帳代行+確定申告(丸投げ依頼) |
|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 5万円〜10万円前後 | 10万円〜20万円前後 |
| 1,000万円〜3,000万円 | 10万円〜15万円前後 | 20万円〜30万円前後 |
| 3,000万円〜5,000万円 | 15万円〜25万円前後 | 30万円〜40万円前後 |
なお、消費税の課税事業者である場合やインボイス制度に対応した消費税申告を追加で依頼する場合は、上記の金額に加えて3万円から5万円程度の追加費用が発生するケースが多く見られます。
2. 個人が確定申告を税理士に頼むメリットとデメリット

個人事業主やフリーランスが確定申告を税理士に依頼する際は、費用面だけでなく、作業時間の削減効果や税理士を活用するメリット・デメリットを総合的に判断することが重要です。
まずは、税理士に依頼した場合の主なメリットとデメリットを比較表で確認してみましょう。
| 比較項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 作業負担・時間 | 帳簿付けや書類作成の手間が省け、本業に集中できる | 領収書の整理や税理士への資料提出作業は発生する |
| 費用・資金 | 正しい節税対策により支払う税金を抑えられる可能性がある | 税理士への報酬(費用)が発生し、手元の資金が減る |
| 申告の正確性・リスク | 申告ミスを防ぎ、税務調査が入るリスクを軽減できる | 専門家に頼むため自身の税務知識がつきにくくなる場合がある |
2.1 税理士に確定申告を依頼するメリット
確定申告を専門家である税理士に委任することで、個人事業主が得られるメリットは単に「作業が楽になる」ことだけにとどまりません。
2.1.1 正確な書類作成と節税対策が期待できる
税理士に確定申告を依頼する最大のメリットは、最新の税制改正に基づいた正確な書類作成と最大限の節税効果が得られることです。
自分自身で申告を行う場合、経費にしてよい費用かどうかの判断を誤ったり、適用できるはずの控除を見落としたりすることが少なくありません。
税理士であれば、青色申告特別控除の最大65万円適用はもちろんのこと、事業に関連する経費の適正な計上や家計と事業費用の家事按分などを的確に行います。
結果として、過大な納税を防ぎ合法的に税負担を最小限に抑えることが可能になります。
2.1.2 税務調査のリスク軽減と時間の節約
税理士が作成した確定申告書には税理士の署名や捺印がなされるため、税務署からの信用度が高まり、税務調査の対象に選ばれるリスクを大幅に軽減できるメリットがあります。
仮に税務調査が入ることになった場合でも、税理士が立ち会いのもとで税務署と交渉や説明を行ってくれるため安心です。
また、慣れない会計ソフトの操作や複雑な計算に何時間も費やす必要がなくなるため、確定申告に奪われていた時間を本業の営業活動や業務に充てられる点も大きな魅力です。
2.2 税理士に確定申告を依頼するデメリット
多くのメリットがある一方で、個人事業主が税理士に依頼する際には事前に把握しておくべきデメリットも存在します。
2.2.1 費用が発生し手元に残る資金が減る
税理士に頼む場合、数万円から十数万円程度の確定申告作成費用や顧問料が発生するため、短期的には手元に残る資金が減少します。
特に開業初期や事業の売上がまだ安定していない時期においては、この税理士費用が重い固定費となる可能性があります。
節税によって浮いた税金や、本業に集中することで得られる利益が、支払う税理士費用を上回るかどうかという費用対効果の見極めが必要です。
2.2.2 税理士とのやり取りや資料提出の手間がかかる
税理士に依頼すれば「すべての作業を完全にお任せできる」と考えがちですが、売上や経費の元となる領収書・請求書・通帳のコピーなどを整理して渡す作業は自分で行う必要がある点に注意が必要です。
また、売上の内容や不明な経費について税理士から確認の連絡が入るため、打ち合わせやメール・電話でのやり取りが発生します。
記帳代行などの丸投げプランを利用する場合でも、最低限の資料収集と確認作業の手間は残ることを理解しておきましょう。
3. 個人が確定申告を税理士に依頼すべきかの判断基準

個人事業主やフリーランス、副業を行っている方が確定申告を税理士に依頼すべきかどうかは、事業規模や申告内容の複雑さ、ご自身の会計知識によって異なります。
ここでは、自分一人で申告手続きを行うべきか、それとも専門家である税理士に依頼すべきかを客観的に判断するための3つの基準を解説します。
3.1 売上1000万円を超えているか
税理士に依頼すべきかを判断する最も大きな目安となるのが、年間売上高(課税売上高)が1,000万円を超えているかどうかです。
売上1,000万円を超えると、2年後から消費税の「課税事業者」となり、所得税の確定申告に加えて消費税の確定申告および納付手続きが必要になります。
また、インボイス制度の開始に伴い、売上1,000万円未満であってもインボイス発行事業者(課税事業者)を選択している場合は、同様に消費税の申告義務が発生します。
消費税の計算方法には「原則課税」や「簡易課税」などがあり、取引の分類や税率の適用を正確に行わなければなりません。
計算ミスや申告漏れが生じると、追徴課税などの税務リスクが発生する可能性が高くなるため税理士へ依頼するのが安心です。
| 売上規模・事業状況 | 税理士依頼の推奨度 | 判断の理由とポイント |
|---|---|---|
| 売上1,000万円超 | 非常に高い(必須レベル) | 消費税の課税事業者となり、税務計算や申告手続きが複雑化するため。 |
| 売上500万円〜1,000万円 | 高い | 節税対策の実施や本業への集中による費用対効果が大きくなるため。 |
| 売上500万円未満(インボイス登録あり) | 中程度 | 消費税申告が発生するため、自力での計算に不安がある場合は相談を推奨。 |
| 売上500万円未満(免税事業者) | 低い(自力可能) | 日々の取引がシンプルであれば、会計ソフトを活用して自力で対応可能。 |
3.2 副業や不動産所得など複雑な確定申告が必要か
事業所得(本業)だけでなく、副業による収入や不動産所得、株式・暗号資産(仮想通貨)の売買損益など、複数の所得の種類が重なる場合は申告手続きが複雑化するため専門家への相談が有効です。
例えば不動産所得がある場合は、賃貸用物件の減価償却費の計算や借入金利子の経費計上など、専門的な税務知識が求められます。
また、会社員の副業であれば給与所得との損益通算や、住民税の徴収方法(特別徴収・普通徴収)の適切な選択が必要になります。
| 所得の種類・申告内容 | 申告の難易度 | 税理士に依頼すべき理由 |
|---|---|---|
| 会社員の副業所得 | 中 | 本業の給与所得との合算処理や適切な経費の区分が必要となるため。 |
| 不動産所得 | 高 | 物件の減価償却費の計算や修繕費と資本的支出の判定など高度な知識が必要なため。 |
| 株式・暗号資産等の譲渡所得 | 高 | 損益通算や繰越控除の適用、年間取引報告書の集計作業が煩雑なため。 |
| 特殊な控除(住宅ローン控除初年度など) | 中 | 提出書類が多く、適用要件の確認を誤ると税額控除を受けられないため。 |
複雑な所得構造になっている場合、自力で申告すると税額計算の間違いや節税漏れが発生しやすくなります。
税務署からの指摘を避け税負担を最適化したい場合はプロに頼む価値が高いと言えます。
3.3 自分でfreeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使いこなせるか
近年は「freee会計」や「マネーフォワード クラウド確定申告」、「弥生シリーズ」といったクラウド会計ソフトの性能が向上しており、銀行口座やクレジットカードとの自動連携を活用すれば入力作業を大幅に効率化できます。
そのため、会計ソフトを日常的に使いこなせているかどうかも自力申告と税理士依頼を分けるポイントです。
操作に慣れており、勘定科目の設定や決算整理手続きまでスムーズに行える方であれば、税理士をつけずに自身で申告を完結させることが可能です。
しかし、以下のような状態に当てはまる場合は注意が必要です。
| 会計ソフトの利用状態 | 推奨される対応方針 |
|---|---|
| 仕訳ルールを理解し、毎月遅れずに記帳できている | 自力で確定申告を行い、費用を抑えることが可能。 |
| ソフトは導入しているが、不明なデータやエラーが溜まっている | 決算処理や書類作成のみをスポットで税理士に依頼。 |
| パソコン操作や数字の管理が苦手で、記帳時間が確保できない | 記帳代行から確定申告まで税理士に一括依頼。 |
会計ソフトは入力作業を補助してくれるツールですが、「どの勘定科目で処理すべきか」「どこまで経費にしてよいか」という税務上の正確な判断まではソフトが行ってくれません。
ソフトの操作や入力データの内容に不安を抱えたまま申告してしまうリスクがあるなら、税理士のサポートを受けることをおすすめします。
4. 個人の確定申告費用をできるだけ抑えるポイント

個人事業主やフリーランスが税理士に確定申告を依頼する際、工夫次第で手元に残る資金を増やし、依頼費用を大幅に抑えることが可能です。
ここでは、税理士報酬を節約するための具体的なポイントを3つ解説します。
4.1 日々の記帳は自分で行い記帳代行費用を削減する
税理士費用の中で大きな割合を占めるのが、領収書やレシートの入力作業を代行してもらう「記帳代行費用」です。
記帳作業を税理士に丸投げせず、自分自身で会計ソフトに入力しておくことで、確定申告の依頼費用を大幅に安く抑えられます。
近年は、クラウド会計ソフトを利用することで、銀行口座やクレジットカードとの連携による自動仕訳が可能になっており、自力での記帳ハードルが下がっています。
記帳を自分で行う場合と丸投げする場合の費用比較は以下の通りです。
| 依頼範囲 | 作業内容 | 費用相場の目安 |
|---|---|---|
| 記帳代行+確定申告(丸投げ) | 領収書の整理、仕訳入力、決算書作成、確定申告書提出 | 約7万円〜15万円 |
| 確定申告書作成・決算のみ(自作記帳) | 入力データのチェック、各種控除の適用、決算書作成、確定申告書提出 | 約3万円〜8万円 |
このように、日々の取引データの入力や領収書の整理を自分で済ませておくだけで、数万円単位の費用削減につながります。
クラウド会計ソフトの利用料を含めても、トータルの出費を抑える効果は絶大です。
4.2 早めの準備で早期割引や通常料金を適用する
確定申告の時期である2月中旬から3月中旬は、税理士事務所にとって1年で最も忙しい繁忙期です。
申告期限の間際に駆け込みで依頼すると、特急料金や割増料金が発生したり、最悪の場合は依頼自体を断られたりすることがあります。
一方、12月や1月などの早い段階から相談・準備を進めることで、以下のようなコスト面・運用面のメリットが得られます。
まず、繁忙期前の早期申し込みによって割増料金の発生を回避できます。
税理士事務所によっては、早期契約による割引キャンペーンが適用される場合もあります。
さらに、不備があった場合の書類集めや確認作業に余裕を持って対応できる点も大きなメリットです。
申告期限ギリギリになってから慌てて依頼するのではなく、年内や1月中に必要な資料を整理し早めに相談することが確定申告費用を安く抑えるコツです。
4.3 確定申告に強い個人の税理士や税理士事務所を探す
税理士の料金設定は自由化されているため、依頼する事務所の規模や運営スタイルの違いによって提示される見積もり金額が大きく異なります。
大手の税理士法人よりも、個人の税理士事務所や独立したての専門家の方が、比較的リーズナブルな価格設定を行っている傾向があります。
費用を安く抑えつつ質の高いサポートを受けるためには、確定申告の業務効率が高い税理士を探すことが重要です。
個人事業主やフリーランスの確定申告実績が豊富な税理士であれば、業務の手順が確立されているため、適正価格で受任してもらいやすくなります。
また、店舗を持たないオンライン特化型の税理士事務所を選ぶことも有効です。
Web会議ツールやチャットツールを活用し、データのやり取りをクラウド上で行う税理士は、事務所の維持費や人件費を抑えているため、低価格で質の高い確定申告サポートを提供しているケースが多く見られます。
複数の事務所から見積もりを取り、明確な料金体系を提示してくれる費用対効果の高い専門家を選びましょう。
5. 確定申告で損しないための税理士の選び方

確定申告を税理士に依頼する際、費用だけで選んでしまうと「思ったような節税効果が得られなかった」「連絡が遅くてストレスが溜まる」といった失敗に繋がることがあります。
個人事業主やフリーランスが損をせず、納得のいくサポートを受けるための税理士の選び方を解説します。
5.1 個人事業主やフリーランスの支援実績が豊富か
税理士の中には、大企業の法人税務を得意とする事務所もあれば、個人事業主やフリーランスの確定申告・節税対策に強みを持つ事務所もあります。
個人の業界特有の経費や青色申告特別控除に詳しい税理士を選ぶことで、最大限の節税効果を引き出しつつ正確な申告を行うことが可能になります。
過去に自分と同種の業種や規模の申告実績があるか事前に確認することが大切です。
| 比較項目 | 個人事業主・フリーランスに強い税理士 | 法人案件メインの税理士 |
|---|---|---|
| 主な対象 | 小規模事業者、フリーランス、副業所得者 | 中堅・大手企業、法人組織 |
| 得意分野 | 青色申告、個人の節税対策、会計ソフト連携 | 法人税、事業承継、組織再編、会計監査 |
| 費用感 | 個人の売上規模に合わせたプランが多く比較的安価 | 月額顧問料がベースとなり比較的高額になりやすい |
5.2 明確な費用体系や見積もりを提示してくれるか
契約前に明確な見積書を提示してくれるかどうかは、税理士選びにおいて非常に重要なポイントです。
「基本料金は安かったが、記帳代行費用や決算作成料が後から追加請求された」といったトラブルを防ぐためにも、オプション費用や追加料金が発生する条件があらかじめ提示されているか確認しましょう。
| 見積もり時に確認すべき項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 基本料金の範囲 | 確定申告書の作成と提出が含まれているか |
| 記帳代行費用 | 仕訳数や売上高に応じた段階的な追加料金があるか |
| オプション作業 | 医療費控除や住宅ローン控除、不動産所得の追加費用 |
| 相談料 | 面談やメール・電話での相談回数に制限はあるか |
5.3 相性がよく相談しやすい専門家か
税理士とは売上や経費など、事業の繊細な数値を共有することになります。
そのため、専門用語ばかり使わずに分かりやすく説明してくれるか、些細な質問でも気軽に相談しやすい人柄かどうかは極めて重要です。
また、メールやチャットツールでの連絡に対応しているかなど、自分に合ったコミュニケーション手段で迅速に対応してくれるかを見極めることが失敗を防ぐ鍵となります。
初回相談などを活用し、質問に対するレスポンスの早さや丁寧さを事前にチェックしておくと安心です。
この記事では、プライベートカンパニーの定義から、税制面における個人事業主との決定的な違い、具体的なメリット・デメリット、…
6. まとめ
個人の確定申告を税理士に依頼する費用相場は、記帳代行込みで10万円〜30万円、申告書類の作成のみで5万円〜15万円程度です。
費用はかかりますが、正確な節税対策や作業時間の大幅な削減、税務調査リスクの軽減という大きなメリットが得られます。
売上1,000万円超の方や副業などで申告が複雑な方は、税理士への依頼を検討しましょう。
費用を抑えたい場合は、freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトで日々の記帳を自分で行うのが効果的です。
実績が豊富で明確な見積もりを提示する税理士を選び、適切に確定申告を進めましょう。

